日本銀行

岩田一政氏:再度の総括的検証を求む

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元日銀副総裁で日本経済研究センター理事長の岩田一政氏が、日銀は再度「総括的な検証」を行うべきと話した。
2%物価目標達成は当面見通せず、より現実的な1%にマイル・ストーンを置くよう説いた。

「具体的には、量的緩和とマイナス金利を含めた現行政策の効果に加え、1%と2%の物価上昇率がどの程度の期間で実現可能なのかを正確な予測をもとに示すべき。
そのうえで、持続可能なかたちに国債やETFなどの資産買い入れの減額を検討すべきだ。」

岩田氏がReutersインタビューで日銀に方針の調整を促した。
インタビューの内容は多岐の政策手段に及んだが、Reutersが最も興味を持ったのはETF買入れ減額であったようだ。
株式市場の需給に大きな影響を及ぼすトピックだけに注目度は高い。

「ETFについても、どのくらいまでリスクプレミアムが縮小すれば買い入れを止めるのか、条件が明確ではない。
そもそもETFの買い入れには、銀行株が入っていることによる利益相反の可能性や、市場の流動性への影響、コーポレート・ガバナンス上の問題など弊害がいくつもある。」

政府も日銀も経済・市場が一定の回復を遂げたことを吹聴している。
その中で、株式というリスク資産を買い入れることにどのような大義名分があるのかとの疑問は根強い。
日銀が株式を買うのは、リスク・プレミアムが過度に跳ね上がった場合の緊急措置であったはず。
それが、どういうわけだか常態化してしまった。

エリオット・マネジメントのポール・シンガー氏は四半期報告書の中でパッシブ投資が資本主義を滅ぼすと警告した。
単なるパッシブ投資でさえ資本主義を滅ぼすなら、パッシブ投資をする主体が日銀なら壊滅的な話になるのではないか。

「パッシブ投資の世界では、少数株主の声は力を持たず、あるいはほとんど力を持たず、現実的に共同する可能性もない。
一方、大株主は、運用者がインデックスを5/100%アンダーパフォームしない限り深入りしようとしない。」

インデックス・ファンドなどのパッシブ運用が事実上無力な議決権を生むことで企業統治を悪化させるとシンガー氏は主張しているのだ。

日銀のETF買いについて、日銀自身が企業を統治することはないとの言い訳がよく聞かれる。
これは片手落ちの言い訳だ。
日銀が莫大なETFを買い続ければ、ETFのガバナンス、そしてインデックス構成銘柄のガバナンスが骨抜きにされかねない。
日銀が企業を統治したくないのであれば、日銀が直接・間接に保有する株式については議決権が無かったこととする法改正などを考えるべきと思うが、残念ながらそうした話はまったく聞こえてこない。

日銀が株を買ってくれることは足元では美味しい話かもしれないが、長期的に見れば禍根を残すかもしれない。
長期投資に取り組む浜町SCIでは日銀のETF買いが出口を迎えるところまで見据えて、日銀が買うETFに含まれていない銘柄の投資検討を勧めている。