変化したバフェット、変化したFT

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クラフトとハインツを買収したウォーレン・バフェット氏と3Gキャピタルは、他のプライベート・エクイティが行うようにリストラを行い企業価値を高めて見せた。
一方で、これを論じるFTのトーンにはわずかな変化があるように見える。

「この成果は幻影に終わるのではないか。
これほど大きな費用が消えた後、残りの投下資本で成長を促進できるのかと疑問に思うのは当然だ。
第2に、この成果で本当にもっと幸福になったのだろうか。
利益の大部分が一握りの裕福な人に流れる一方で、何万人もの労働者が痛みに耐えているのだ。」

FTは9日の社説「バフェット氏と『人減らし資本主義』」の中で、クラフト・ハインツの人員削減の規模と生産性向上について2つの疑問を提起している。
もちろん、バフェット氏や3Gのやっていることは、私企業として当然のことだ。
度を外した行きすぎでもない限り、非難すべきものとは言えまい。
一方で、FTは、社会全体で見て、その当然のことがプラスなのかどうか判断に迷っているように見える。

以前はもう少し前向きだった

全く同じ話について、FTは2年前の2015年3月もう少し前向きな表現を用いて評している。

「バフェット氏自身がシナジーやリストラ、レイオフといったビジネス用語を使うことは決してないかもしれないが、同氏はこの汚れ仕事を外部に委託する方法を見つけ、その過程でバークシャーが抱く成長への野望を膨らませ続ける方法を見つけた。」

このバフェット氏の変節をFTは当時「進化」と表現していた。
もろ手を挙げて賛成というわけでもなかろうが、決定的に批判的というわけでもなかった。
今回はもう少しマクロな観点から迷いが生じているように見える。
あるいは、FTが日経に買収されたのが2015年7月(合意)だから、被買収企業へのシンパシーが強まったようなところがあるのだろうか。

理論の虚しさ

FTは2つ目の疑問について、理論上の答を紹介する。

「幸福に関する疑問については、理論上、クラフト・ハインツのような企業の超過利潤は株主に還元され、その株主は別の企業に再投資するため、失われた雇用に代わる新たな雇用が生まれるとされてきた。」

いかにも権力者や資本家に飼われた経済学者が吐きそうな理屈だ。
こうした議論はマクロには一分の理があるとしても、ミクロには意味がない。
ミクロには労働者の再教育・再就職など、相当に経済合理性・公平性に欠けた課題がつきまとう。

(次ページ: グローバリゼーションが問題を深刻化)