唐鎌大輔氏:「暗黙の上海合意」再燃

米ドル

みずほ銀行の唐鎌大輔氏が、Reutersへの寄稿で2017年のブラック・スワンを3つ挙げている。
この本題自体とても興味深いものなのだが、そこで紹介された噂話が際立ってショッキングなのだ。

3つのブラック・スワンが何かは、ぜひ原典をお読みいただきたい。
ここでは噂話の部分を紹介したい:

「多くの人は忘れているかもしれないが、今年2月に中国・上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に関し、事前には第2次プラザ合意への思惑があったし、事後には『暗黙の上海合意』に対する観測報道が材料視されドル全面安となった。」

筆者はこの観測記事の記憶がない。
長く記憶に残らなかったナラティブだから、結果的に市場の多くが信ぴょう性を疑ったのであろう。
一方で、米国の双子の赤字が拡大するごとに、米ドルを基軸通貨・準備通貨とする国際通貨制度の限界が語られてきたのも事実だ。
トランプ次期大統領がこれまでの言動を実行に移していくのなら財政赤字は拡大することになるし、現状のようなドル高は経常赤字を拡大させる。

対米債権国の動向にも変化が見られる。
中国は自国通貨の防衛のため、急速に外貨準備を切り崩している。
その内容は、いうまでもなく米国債を中心とした米債券だ。
中国当局は、米国債を狙い撃ちにした売却ではないとするものの、今後米国債への投資を見直す可能性も示唆している。
トランプ次期大統領は強がりを言っているものの、有力な投資家を失うことが米国債市場にとってプラスとは考えにくい。

唐鎌氏は1985年のプラザ合意とのアナロジーを警戒する:

「足元ではトランプノミクスをレーガノミクスと重ね合わせる向きが散見されるが、今起きていることが本当にレーガノミクスの再現ならば、行き着く先はプラザ合意だ(1985年に日米欧はドル安誘導で合意)。」

では、レーガン政権でのドル相場と経常収支の関係を見直しておこう。


青:ドルの実効為替レート赤:経常収支

トランプ・ラリーが一服した後、市場が自律的にドル安に転じるならレーガン政権をなぞることはあるまい。
トランプ・ラリー後もドル高が続くなら、トランプ次期大統領の何らかの介入、「第2次プラザ合意」の思惑あるいは実現によってドル安になる。
結局のところ、どちらに転んでも、現在のドル相場が歴史的に見て高水準にあるうちはドル安圧力はかかり続けるのだ。

唐鎌氏は、従前からドル円相場が「90円台前半を主戦場とする展開へ移る」などと円安予想を続けている。
「第2次プラザ合意」も、そうしたドル安予想の1ピースなのだろう。