加藤出氏:5人で決められる恐ろしい国

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東短リサーチの加藤出氏が、日銀金融政策決定会合の直前、1年前の同会合でのマイナス金利導入を回顧している。
同政策は日本にそぐわないとし、拙速な意思決定をあらためて危ぶんでいる。

思えば、日銀のこの意思決定から2016年の波乱は始まった。
収拾に向かうのは9月の「総括的な見直し」。
加藤氏は回顧する。

「短期・長期の市場金利は大幅に低下したが、日銀の意に反して多方面において『将来不安』が高まってしまった。」

金利を引き下げれば経済が刺激されるというのが経済理論だ。
しかし、経済は生物。
理屈通りにいかせない心理的側面がある。
家計も企業も《日銀も万策が尽きつつあり、先行きは深刻なのではないか》との疑念を抱いたのだ。
加藤氏は金利低下による需要先食いの特徴、人口動態、社会保障などの面から、マイナス金利を導入している北欧と日本を比較している。

「日本は世界で最もマイナス金利政策を導入してはいけない国だったといえる。」

というのが、加藤氏の同政策に対する評価だ。
そして、加藤氏からすればあってはならない決定がなされてしまった日銀、あるいは日本のガバナンスを問題視している。

「『9人の政策委員のうち過半数の5人が賛成すればよい』といったムードで拙速に決めてしまったように思える。
たった5人で日本中を揺るがす政策を決められるとは、恐ろしいといえば、恐ろしい。」

何ごとにもデッドロックのない意思決定の仕組みは必要だから、5人で決まることを一概にダメとは言えまい。
加藤氏が問題視するのは、黒田日銀が日常的(ルーティン)な政策ではなく、極めて非日常的な(あるいは非伝統的な)政策運営をしている中で、なにごとも5人で決まるという点だ。

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官・民・学のいずれの世界においても目立った業績のない人が、リフレ派であり官邸と人的つながりがあるというだけで選ばれてしまう場合がある。
少なくとも、外野からはそう見える場合がある。
仮にそういう人が1人いれば、5対4の議決でキャスティング・ボートを握ってしまう。

念のために申し添えれば、加藤氏は何も量的緩和を賛美しているわけではない。
加藤氏の2014年の著書『日銀、出口なし!』では、マイナス金利政策の現実味がまだ皆無の時代、量的緩和政策の問題点を詳説している。