加藤出氏:物価上昇はなんであれ歓迎する奇妙な国

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東短リサーチの加藤出氏が、日本でも一般化しているステルス値上げについて、英国での状況を紹介している。
食品・素材などで価格を据え置くために量を減らすこの手法は、英国では「シュリンクフレーション」と呼ばれているのだという。

「現在の日本銀行は『物価の上昇はなんであれ歓迎される』という奇妙なスタンスだが、英国ではコストプッシュ型のインフレは困るという論調が当然ながら主流である。」

加藤氏は週刊ダイヤモンドに書いている。
少しなつかしさを感じさせる議論ではないか。
アベノミクスが始まろうとするとき、激しくリフレ政策の是非について議論された時期があった。
インフレを引き起こせば、すなわち経済が改善するというリフレ派。
経済が改善するからインフレが起こるのであり、リフレは本末転倒だとの反論。

もちろん物価が長期継続的に下落することには弊害も多い。
特に、資産価格が下落し続ければ経済に与える打撃が大きいことは、日本がバブル崩壊後の「失われた10年」で痛感したところだ。
しかし、物価下落が継続的でないなら、あるいは、物価上昇率が0-1%であるならどうだろう。
こうしたディスインフレもまた悪なのだろうか、そういう議論だった。

政権交代のどさくさで勝ち残ったリフレの今

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 民主党政権の無責任な首相・無責任な党運営の結果、2012年末、政権は自公に戻る。
それにともない、インフレさえ実現すれば経済はよくなると信じるリフレ派が政府・日銀で実権を握る。
非伝統的なリフレ政策が実施されるが、その試みには2つの壁が立ちはだかっていた。

  1. 金融政策で物価上昇率を引き上げられるのか
  2. 物価上昇率が上がれば国民は幸福になるのか

これまでのところを言えば、日銀は1つめの壁さえ乗り越えられていない。
異次元緩和から4年経っても、この克服は相当に困難と考えられている。
1つ目の壁を乗り越えるには、大幅な資源高・円安が必要となりそうだ。
仮にそうした風が吹いて物価上昇率が2%になったとすると、2つ目の壁が現実のものとなってくる。
資源高・円安に対応するためシュリンクフレーションが加速し、家計を苦しめるかもしれない。
それでも国民が幸福になるためには、少なくともそれを上回る賃金上昇が必要だ。

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