佐々木融氏:日銀の方が引き締めに近いかもしれない

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JP Morganの佐々木融氏が、従来通り円高予想を続けている。
注目したいのは、市場が慣れきっているコンセンサスに異論を呈している点だ。

固まりつつある為替のロジック

佐々木氏のReutersへの寄稿では、政治要因を主な理由として円高を予想している。
政治要因とは、米トランプ政権がドル安を望むとのシナリオのことだ。
佐々木氏は従来からこうした円高を予想しており、これだけなら目新しさはない。
今回の寄稿では、特に市場が忘れがちなアングルを呈示しているのが興味深い。

現在、投資家の多くが外為市場を見るアングルはこんな具合だ。

  • 米国は金融引き締めに入っている
  • 日欧は金融緩和を続けている
  • 米国と日欧のダイバージェンスが進んでいる
  • 結果、ドル高・ユーロ安・円安の力が加わりやすい

さらに、ECBがテーパリングに入る気配があるから、ユーロは方向転換するかもしれない。
その上で、米トランプ政権の保護主義、為替へのプレッシャーの話になってくる。

ECBはテーパリングへ

佐々木氏は、ユーロ相場についてこう予想する。

「当社はECBが2017年末頃にはテーパリング(緩和縮小)開始を宣言し、2018年第4四半期から緩やかな利上げを開始すると予想している。
状況が順調に進めば、こうした期待が今年半ば頃から盛り上がり始め、ユーロドル相場を大きく押し上げるかもしれない。
対ユーロでのドル安は対円でのドルの上値を抑えることにもなるだろう。」

欧州で物価が上昇する中、ECBが量的緩和の停止を模索するだろうことは市場のコンセンサスになりつつある。

日銀の方が金融引き締めに近い

問題はここからだ。
日本の金融政策はどうとらえるべきだろうか。
佐々木氏は興味深い見方を呈示する。

「日銀はECBに比べれば引き締め方向への動きが遅れているように見えるが、昨年9月の時点ですでに量的緩和政策を事実上止めて、イールドカーブ・コントロールに移行している。
・・・
ECBは量的緩和をまず停止し、かなりの期間が経過した後、利上げを行うとの見方を示しているが、日銀はインフレ率など条件が整えば、すぐにでも政策目標である10年の金利を引き上げる可能性がある。
こうして見ると、日銀の方がECBより金融引き締めに近いと言えなくもない。」

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