佐々木融氏:日本株のドライバーがドル円から円へ

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JP Morganの佐々木融氏が、日本株の上昇ドライバーが円安ドル高から円安に変化しつつあると指摘している。
ドル安が継続しているために、日本株とドル円レートの連動性が低下し、円の名目実効為替レートとの相関が高まっているという。

トランプ米政権の保護主義的姿勢と、新興国経済の復活を受けたドルから新興諸国への資本逆流によるドル安の根は深いと考えられる。
ドルがさほど強くない中でも、ドル円相場は過去2週間弱で107円台から112円台まで急速に上昇した。この背景にあるのは円の下落だ。

佐々木氏はReutersへの寄稿で、現状の為替市場がドル安かつ円安であると解説している。
FOMCで10月からのバランスシート縮小が決定されたものの、米ドルの戻りはさほど大きくなかった。
さらに、今後の利上げについても、市場は極めて控えめな予想を続けている。

円安の3要因

一方、「円はドルの次に弱い通貨」だとし、佐々木氏は要因を3つ挙げている。

  • 世界経済の安定的拡大が市場参加者のリスク許容度が高め、リスク・オンの円売りを後押ししている。
  • 日本企業が対外直接投資を拡大している。
  • 国内投資家が対外証券投資を増やしている。

佐々木氏の話は為替と日本株の関係に移り、ドル円レートと日経平均の相関の高さを指摘している。
せっかくなので過去10年のデータで検証しておこう。

日経平均とドル円(2007年8月以降)
日経平均とドル円(2007年8月以降)

経路への依存があることは明らかだが、それでもR2が0.82もある。
不自然なまでに高い相関のように見える。
サンスポット均衡に囚われた市場参加者のなせる業だろう。
そのことは、日本の貿易にとってより理論的と考えられる名目為替レートとの相関を見てみればわかる。

日経平均と名目実効為替レート(2007年8月以降)
日経平均と名目実効為替レート(2007年8月以降)

一見して、相関が小さいことがわかる。
日経平均が円の名目実効為替レートではなくドル円レートと高い相関があるのは現実である。
ただし、それが理論的かといえば、おそらくそうではない。

日本株を見る上でのドル円偏重には用心が必要だろう。
また、理由がないわけではないが、輸出産業偏重にも用心が必要だろう。
さらに、問題は経済の局面ごとの相関のあり方である。

(次ページ: ドル円と袂を分かつ日本株)