佐々木融氏:マネーは新興国通貨・高配当株へ

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JP Morganの佐々木融氏が、円キャリーによるイールド・ハンティングの活発化を予想している。
先進各国との金利差は大きくないため、利回りを求めるマネーは新興国通貨や国内高配当株に向かう可能性があるという。

通常、景気拡大が続くと、インフレ率が上がり始め、中央銀行は利上げを行い、それが景気拡大を抑える結果、景気後退期が訪れる。
しかし、今回の景気拡大期は、インフレ率の上昇テンポが鈍いため、中央銀行は利上げをあまり積極的に行わない。
その結果、景気後退期につながるきっかけがない可能性がある。

佐々木氏はReutersへの寄稿で、日米を始め世界で長く続く安定的な景気拡大の要因を説明した。
景気は拡大しているのだが、インフレが上昇しない。
そのため、通常はインフレ封じのために行われる金融引き締めのペースが緩やかになる。
結果、金融引き締めが景気をオーバーキルすることがないというわけだ。

経済の安定が円安を誘発

佐々木氏は、世界経済が現状並み(3.0-3.5%)の成長を2019年まで持続する可能性は低くないと予想する。
また、安定した経済状況が、現状の低ボラティリティの一因となっている可能性があるという。
こうした見通しの投資へのインプリケーションはなんであろうか。
まずは為替だ。

「ボラティリティーが低い状況が続くと、円は『弱い通貨』となる。
世界の投資家がキャリートレードを活発化させ、低金利通貨を売り、高金利通貨を買うからだ。
超低金利で、最適な資本調達通貨である円は売られることになる。
・・・
景気拡大期がまだ持続するとなると、円は実効レートベースで、当面弱い状態が続く可能性があるが、ドルも引き続き弱い通貨となることが予想される。」

こうした全体像の下、ドル円については、トランプ政権の保護主義・FRB利上げの遅さから「徐々に上値が切り下がる展開を予想」しているという。
ドル以外の反対通貨、つまりクロス円では円安との読みだ。

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