佐々木融氏:ドル円は年初から反動へ

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JP Morganの佐々木融氏が2016年の為替相場を回顧している。
日米金利差拡大はピークに達しつつあり、2017年の年初からドル円は再び円高ドル安に向かうと予想している。

実は円高の年だった

佐々木氏はReutersのコラムで、円相場をこう締めくくっている。

「2016年のドル円相場は120.20―120.30円近辺で取引を開始していたため、足元の水準(東京時間12月29日午後7時時点で116円台)程度で2016年を終えるのなら年間を通じると下落との結果になりそうだ。
・・・
実は2016年を通じて見て最も強かった通貨は今のところ円である。」

私たちはついつい新たな環境に慣れてしまいがちだ。
トランプ・ラリーで進んだドル高の印象は強烈で、この傾向が当たり前のように感じられてしまう。
以下に主要通貨の対ドル・レートを指数化(2015年末=100)したグラフを示す:

円(黄)は強くなり弱くなった

米大統領選まで円は断トツの最強通貨だったが、その後一転、最弱通貨に変貌する。
それでも、円は結局、わずかの差で最強でゴールしている。

金利差での円安の限界

大統領選後の弱さもまた断トツだ。
11月8日を100とする指数で見ると、その様子は一目瞭然だ:

大統領選後の円安
主要通貨の対ドル・レート(2016年11月8日=100)

この円安ドル高は日米金利差で説明されているが、この関係について、佐々木氏は限定的に解釈すべきと述べている:

「日米10年国債金利差は11月以降急速に拡大して、2010年以来となる250bpまで到達した。
2010年のドル円相場は80円台から90円台で推移していたことを考えると、金利差と為替相場の長期的な関係の難しさが見えてくる。

つまり、金利差が一定レベルまで広がったら、ドル円相場が一定レベルまでドル高・円安になるといった関係は基本的にはない。」

換言すれば

  • 金利差が拡大すれば円安ドル高要因となる
  • しかし《金利差がいくらだったらドル円相場はいくら》という関係はない

ということ。
だから、短期的な動きを予想するのに金利差は有効だが、中長期の動きを予想するにはあまり役立たないかもしれない。
一般的には、中期は国際収支、長期は物価上昇率の差を重視する人が多い。
佐々木氏はそうした点を指摘しているのだ。

(次ページ: 2017年も円高へ)