ローレンス・サマーズ:金融規制の3つの事実と5つのポイント

ローレンス・サマーズ
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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が米金融規制、ドッド・フランク法の改正議論についてコメントしている。
先入観に背中を押されて拙速に陥ることなく慎重に進めるべきとし、3つの事実と5つのポイントを説明している。

「銀行は資本を増強したから、今はもう安全だとの見方が広がっている。
しかし、この議論は、人気があるにしても、もっと検証しなければいけない。」

サマーズ氏がThe Washington Postで、安易なドッド・フランク規制の緩和・廃止に警鐘を鳴らしている。
世間に広まっている考えには事実と合わない思い込みが多いとして、こうした勘違いを3つ指摘している:

  • 当局が監視している銀行の資本が厚ければ破綻しないという命題にはほとんど証拠がない。
  • サマーズ氏らの研究によれば、銀行のレバレッジを引き下げてもボラティリティ、ショックへの感度、リスク・プレミアムは低下しない。
  • 時価ベースのレバレッジ指標である(銀行の時価総額/リスク加重資産)は正しく警鐘を鳴らさないことがある。

こうした事実から、サマーズ氏は金融規制のあり方について5つのポイントを示唆する:

  • 経済は変動しており、銀行収益・所要資本についても周期の相ごとにダイナミックに捉える必要がある。
    ストレス・テストは、必要なはずの業務改善命令の発令を見逃す可能性がある。
  • 前回の危機では、市場が先に経営悪化した金融機関の危機を織り込んでいた。
    しかし、当局は何もしていなかった。
  • 当局は、過剰な規制により過度なコスト負担を銀行に求めることのないよう配慮すべき。
    銀行の弱体化はシャドウ・バンキングを助長し、金融不安定の要因となりうる。
  • 資本規制の厳格化は(MM理論とは反し)銀行の資本コストを上昇させかねない。
    そうなれば銀行経営だけでなく貸出へも悪影響が及ぶ。
  • 不十分な金融監督がリーマン危機の一因となったことを疑う人はいない。
    規制をいくらでも増やせばいいものでもないし、どこまでも減らせばいいものでもない。

ドッド・フランク法改正については、多くのエコノミストからさまざまな意見が出ている。