ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ:異常が重ならなければ

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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、自説の趨勢的停滞論への自信を強めているという。
2013年11月のIMF会議で可能性を示唆して以来、状況は趨勢的停滞の特徴を濃くしてきているのだという。

「私が2013年コメントした時には、かなりの疑問を持ちつつ指摘をした。
今日では、疑問は少なくなった。
その時の私の主張の要点は、さまざまな構造的要因から中立金利がそれまでより低くなっており、したがって適切な低金利を実現するのが難しくなったというものだった。
さらに、それは、人々が考えているより長い期間、総需要の制約として働くというものだった。」

ブルッキングス研究所のDavid Wessel氏が、最近のサマーズ氏の発言を紹介している。
金融緩和とは市場金利を中立金利より低く誘導することで経済を刺激することである。
趨勢的停滞により中立金利が低下してしまうと、市場金利をそれより低く誘導する余地が小さくなる。
結果、趨勢的停滞では金融緩和の余地が小さくなり、総需要を十分に喚起できなくなってしまうかもしれない。
サマーズ氏は、当時の金利・成長率・インフレの予想より実績が下振れ、財政政策が拡張的になった事実を挙げ、自身の趨勢的停滞論の現実味が増したと話す。
特に、10年ものTIPS利回りを見れば、50年間にわたり中央値レベルが切り下がっていると指摘した。
長期のTIPS利回りとは、言うまでもなく、長期の実質中立金利や実質ベースの潜在成長率と密接な関係にある金利である。

公共投資を増やせ

問題は、どうやれば中立金利を引き上げられるのかだが、サマーズ氏は財政・金融政策のミックスを変える必要があると説く。

「トランプ政権の施策のいくつかは評判を悪くしているものの、投資性向を上昇させる企業の信頼感を引き上げる基本的刺激策はよいものだ。
まず、公共投資を増やすのがいいと思う。」

政府支出を増やせば、少なくとも支出を増やしている間、必ず総需要は増加する。
もちろん政府にも財政問題があるから、いつかは財政収支を見直すことになろう。

  • 潜在成長率が上昇すれば、支出を元に戻す必要がなくなるかもしれないし
  • 潜在成長率が思うほど改善しなければ、財政を引きしめる必要に迫られる。

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