ローレンス・サマーズ

ローレンス・サマーズ:財源なき減税は無分別

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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、米政府について縮小ではなく拡大に向かう理由について列挙している。
ドナルド・トランプ大統領や共和党など小さな政府を求める勢力に対して反対意見を述べたものだ。

仮に格差問題の改善が連邦政府の機能とするならば、格差拡大を部分的にでも打ち消すべきとの圧力が高まるはずだ。
この影響は潜在的に大きい。
税引前利益がトップ1%に配分される割合は(1967-2015年に)所得全体の10%も上昇した。
この1/4でも打ち消そうとすれば、GDPの約2%分のコストがかかる。

サマーズ氏は自身のブログで、政府の適正規模を議論する上では、社会の実態に目を向けなければいけないと説いている。
米政府が縮小ではなく拡大すると考えられる理由を4点指摘している。

  1. 高齢化が進み、高齢者の福祉に対する政府の責任が(経済拡大より速いペースで)増えている。
  2. 格差が拡大している。
  3. 政府が購入するものの相対価格が上昇している。
    「1980年代以降テレビと入院の相対価格は100倍の桁に及ぶ。
    ・・・、医療と教育のコストがGDPより速く上昇するのは極めて一般的な現象だ。」
  4. おそらく米防衛費は、潜在的な敵国の防衛費の伸びに応じてある程度増やさざるをえない。

(参考)社会保障支出と国民負担率 (出典:財務省
社会保障支出と国民負担率

サマーズ氏は元々米政府の規模が大きすぎた可能性を否定しているわけではない。
ただ相対的に政府へのニーズが拡大している点を述べたのだ。
その上で、ある前提を設定すれば、今後の方向性は政府の拡大にならざるをえないという。

「私が示したのは政府の適正規模ではない。
仮に過去数十年の(政府・議会の)判断を受け入れるなら、論理的な結論は将来の政府の拡大になると言いたいだけなのだ。
・・・
そして、これこそ大規模な、財源のない減税が危険かつ無分別な政策である理由なのだ。」