ローレンス・サマーズ:トランプの3%成長が不可能な理由

ローレンス・サマーズ
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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)がトランプ政権の経済成長予想に疑義を唱えている。
客観性を欠いた実現性のない数値だとし、政権中枢のバンカーらを厳しく批判している。

「トランプ予算の半分の誇大広告で株を売ろうとしても、冗談と笑われてしまうだろう。
そういう売出を引き受けるまともな投資銀行はないはずだ。
大いなる謎は、トランプ政権の高官を務める経験ある投資銀行家たちが、なぜ以前彼らが扱ってきたよりはるかに低い水準に米国の予算をとどめておくのかだ。」

サマーズ氏は、トランプ政権の中枢を占める金融プロフェッショナルたちをThe Washington Postで当てこすっている。
一方で、世の中にはトランプ政権の陣営を史上最強と称える人がいる。
確かに、実業界でのキャリアを見る限り高名な人材が並んでいる。
ところが、予算教書というような重要な政策方針において、その実現可能性が疑問視されている。
この現実を《史上最強》と呼ぶのには無理があると言わざるをえまい。
バンカーたちの過去のキャリアが泣いている。

サマーズ氏は、大人1人あたりGDPの指標に注目し、3点を挙げている。

  • 大人の人口増加ベースが低下(1961-2000年は1.4%だったのが、2021-27年は0.2%に)。
    女性の労働参加率も横ばいに(1960年の33%が2000年に62%となり、横ばいに)。
  • トランプ政権の2021-27年に3%成長という予想は、大人1人あたりGDPの2.8%成長に当たる。
    過去56年、米成長率が3年続けてこれを超えたことはない。
  • 1960、1980、1990年代に大人1人あたりGDPの2.8%成長が7年間実現した例では、トランプ政権の想定する4.8%失業率よりはるかに低い失業率が実現していた。

確かにサマーズ氏が言うように3%成長でも実現は難しそうだ。
ちなみに、トランプ大統領の選挙時の公約は《当初3.5%、その後4%》というものだった。
米国に限らず、政権をとろうとするものが無責任に実現不可能な公約を掲げるのをどう考えるべきか。
政権をとった後もそれは後を引き、実現不可能な目標を掲げ続け、政策・経済・市場に歪みを生んでしまう。
ウソをついた者勝ちとでも言うかのように無責任がまかり通っている。

サマーズ氏は、オバマ政権が同様に当初経済成長率を過大に見ていた点を認めている。

「私たちは、私たちの政策についての私たち自身の見方を(予想に)反映させなかった。
企業が監査を受けるのにも、これまで政府の経済予想がコンセンサスに従ってきたのにも理由がある。
誰も、自分自身の仕事を信頼のおける形で評価できないのだ。」