ロバート・シラー:ポピュリズムの主原料は陰謀のセオリー

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ロバート・シラー教授が、ポピュリズム台頭のプロセスを解説している。
割を食った人たちの心の隙に乗じる政治家のやり方はいずこも同じだ。

「問題は単に経済成長だけじゃない。
所得の分配の問題でもあるんだ。」

シラー教授はBloombergで政治の混乱と経済・市場のかかわり方について尋ねられこう語った。
全体のパイの伸びの鈍化以上に、中間層以下は割を食っている。
のろいながらも経済は上向くのに、構造変化の中で沈んでいく人が少なくない。

誇りを傷つけられた人たちは原因を探す

「ラスト・ベルトは拡大した。
この20年自分たちは何をやっていたんだと考える人たちがいる。」

自信を失い、アイデンティティの危機にさらされる人たちがいる。
そうした逆境の中でもアメリカ人がいつになく忍耐強くなったと、シラー教授は指摘する。
この忍耐が、逆に人々の心に陰謀説を鬱積させていく。

「陰謀が行われているとの感覚が育ってきた。
金持ちのエリートが民衆を害している。
一つには、人々が陰謀説を信じやすいためだ。
一つには、尊厳が傷つけられ、アイデンティティを傷つけられたためだ。」

陰謀説に終始したトランプ

正しくもあり正しくなくもある陰謀説だが、感情はそれをただ肯定してしまう。
これが、トランプ支持者を増やす。
シラー教授は、こうした考えが生まれるのを見過ごしたことを悔やむ。

「誰かがトランプ勝利を予想した時、私は驚くべきでなかったのだろう。
相手が自分の価値を保てるような言い方で話すべきだった。」

どちらかと言えば民衆を害してきた側のトランプ氏がその被害者から支持を受けたのは、うまく人々の陰謀説を利用したからだ。

「トランプは横柄なエリートをこき下ろした。
そして民衆に『あなた方こそすばらしい』と鼓舞した。
これは、意欲を引き出す話し手のやり方だ。
タイミングがよかった。
歴史の中で人々が最も自信を失った時期に、陰謀を吹き込むことに集中できた点でトランプは幸運だった。」

(次ページ: 陰謀説は尾を引く)