ロバート・シラー:トランプ・ブームか金利上昇か

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資産価格の実証的研究で2013年ノーベル経済学賞を受賞したロバート・シラー教授が、10月の米住宅価格についてコメントした。
断定的な表現を避けつつ、今後の住宅価格について2つのシナリオを説明した。

10月のS&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)は前年比5.1%上昇と前月に引き続き順調に推移した。
5.1%の上昇は市場予想どおりか、それをわずかに上回る水準。

S&Pケース・シラー住宅価格指数(20都市)

この結果を受け、シラー教授がBloombergでコメントした。

「今日(20日)我々が公表した数字は、トランプ勝利前の10月の統計だ。
そして、今はもうすべてが違ってきている。
トランプ・ブームがやってきたのかもしれない。」

シラー教授は、最近の米金利上昇について、その絶対的レベルは心配するほどのものでないと考えている。
ボルカー・ショック前の高インフレ、その後の高金利時代と比べれば、天と地ほどの差があるからだ。

「1970年代・80年代はすごかった。
インフレも住宅ローン金利も2桁で、住宅ローン金利は20%近くもあった。
それでもみんな住宅を買っていた。
今年、住宅ローン金利は1%上昇したにすぎない。」

S&Pケース・シラー住宅価格指数と住宅ローン金利(固定30年)

シラー教授は人々の行動を予想するのは難しいとしながら、むしろ駆け込み需要を呼び起こす可能性に触れている。

「一つの可能性は、今の金利で固定しようとすること。
それが、最近の好調な住宅販売の理由かもしれない。
この行動は、住宅ローン金利が上昇する限り続く。
これがブームに油を注ぐ。」

シラー教授は、トランプ政権の不確定要素が大きいと言い訳しながらも、今後の2つのシナリオを挙げた:

  • 米全域で5%程度の上昇トレンドが続く。
  • トランプ・ブームがやって来る。

トランプ氏が何をやり成功するかに注目すべきとする一方、社会・市場の反応のしかたも重要な要因とし「問題は経済学というより社会学だ」と表現した。
シラー教授は従来から「心理がマクロ経済を駆り立てる」と主張してきた。

トランプ次期大統領が公約してきた大型減税については

  • 所得税率が下がると住宅ローン関連の控除の節税効果が減るため住宅価格にマイナス
  • 所得税率の下げは手取り収入の上昇を通して住宅市場にプラスなので住宅価格にもプラス

と分析し、足し合わせることは拒絶している。

「私は行動経済学者なので、2つをあまりにも精緻に比較したくない。
これは心理学でもあるのだ。」