ロバート・シラー:アメリカン・ドリームを取り戻せ

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ロバート・シラー教授はグリーンスパンの「根拠なき熱狂」、ケインズの「アニマル・スピリット」など先人の言葉を再生させる天才だ。
教授は「アメリカン・ドリーム」という言葉の変遷を解説し、その危うさを警告している。

「『アメリカン・ドリームが復活した。』
トランプ大統領は1月のスピーチでこう言った。
・・・
トランプ氏とベン・カーソン住宅都市開発長官は、(アメリカン・ドリームには)美しい家と繁盛する商売を所有することが含まれると示唆した。
しかし、いつもそうであったわけではない。」

勘違いな不動産屋の言葉を紹介するところからシラー教授のNew York Timesのコラムは始まる。
この言葉の本来の意味を知れば、国家が目指すべき方向性は変わるはずと示唆している。

ポピュリズムとしての持ち家政策

不思議なことに、多くの国で持ち家政策が国民の福祉を向上する政策として採用されている。
国民が持ち家を所有するのを後押しする。
後押しするから住宅価格に上昇圧力が加わる。
住宅価格が上昇すれば、持ち家を持つ人たちは含み益を抱えることになる。
永遠に住宅価格が上昇するなら、このスキームは理想的だ。

しかし、永遠の住宅価格上昇とは必ず保証されるものではない。
バブルとまでは言わなくとも、住宅価格が賃金水準からあまりにもかけ離れてくると、住宅は普通の人には手が届かないものになっていく。
住宅価格の高騰は家賃の高騰も引き起こす。
住宅が安い時代に買えなかった世代は踏んだり蹴ったりだ。

(次ページ: 本来のアメリカン・ドリームとは)