レイ・ダリオ:米・英の政府が機能不全に陥る可能性高まる

Share

今年3月ポピュリズムの研究を公表しているBridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、この1日の米・英の政治についてSNSで見解を述べた。
米国では前FBI長官が大統領による捜査干渉を示唆する証言をし、英国では与党保守党が勢力拡大を狙った選挙で過半数を失った。

「この24時間の英・米での展開は、対立が政治の機能不全に至る可能性を高めてしまった。
もしも昨日のジム・コーミ―(前FRB長官)証言を見ていないなら、高い規律の人物が戦っているのを目の当たりにするため、ぜひ見るべきだ。
私はコーミーと2年半一緒に働き、彼が本物であることを保証できる。」

ダリオ氏はこうツイートした。
コーミー氏は2010-13年、ブリッジウォーターのシニア・マネジメント委員会のメンバーを務めている。
ダリオ氏は先日もコーミー氏を「筋を通す人物」と称えている。

帝力何ぞ我に有らんや

ダリオ氏は昨日、LinkedInでも詳しい考えを説明している。
政治と経済についてのダリオ氏の観察はこうだ。

「通常、政治と経済は互いに影響を与え合い、政治が経済のドライバーになりよりも、経済が政治のドライバーになることが多い。
つまり、悪い経済状況は通常、政治の変化につながる。
普通は経済・市場を正常に保つため政治に注意を払う必要はない。」

まさに十八史略にある尭帝の鼓腹撃壌の故事を思い浮かばせる。
「帝力何ぞ我に有らんや」
よく治まっている社会では、誰が為政者か、為政者がどんな政策を行っているか、庶民は知る必要もないし、知りもしない。

日本が欧米よりはるか昔にポピュリズムに陥ったことを暗示するようなメッセージだ。
過去数年、日本の経済はただただ政治に翻弄されてきた。

1930年代との類似

ダリオ氏によれば、「普通」に対し、ポピュリズムが吹き荒れる現在は例外なのである。
そして、例外の時期にはいくつかの特徴があるという。

「歴史が示すのは、こうした時期には一国の中に大きな経済・社会・政治的偏りが生まれ、『普通の人』が『エリート』に闘いを挑むためポピュリストのリーダーが選ばれる。
今、こうした状況が生じている。
世界の先進国で最後にこれが起こったのは1930年代だ。」

1930年代とは大恐慌の時代であり、その政治・経済環境は後に第2次世界大戦の伏線となった。
確かに、リーマン危機と現在の不穏な国際情勢は1930年代の文脈と似ていなくもない。

(次ページ: 懸念される経済・市場への波及)