レイ・ダリオの金融引き締めシミュレーション

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Bridgewater AssociatesのRay Dalio氏が、顧客に向けてFRB金融引き締めへの警戒を呼び掛けた。
FRBのさじ加減次第では経済・市場だけでなく社会的・政治的な問題を引き起こしかねないという。

FRBは古典的な周期的指標とバランスシート『正常化』願望に基づいて行動を変えようとしている。
弊社の行った計算によると、FRBが問題を誘発することなく計画を実行できるか疑わしい。

ダリオ氏が顧客あてメモでFRBの金融政策正常化についての懸念を語ったとBusiness Insiderが伝えている。
ダリオ氏はこれまでも慎重な金融引き締めを求めてきたが、今回は5つの論点を挙げている:

  • インフレは十分でなく、インフレへの過度な懸念がある
  • リスクが非対称で、ダウンサイドに偏っている:
    経済・市場を過熱させても引き締めることができるが、冷やしてしまうとゼロ金利制約のために再加熱が難しい。
  • イールド・カーブへの織り込みより速い引き締めは、マイナスの資産効果を及ぼしがち:
    資産の実効デュレーションが長くなっているのが効いている。
  • 金利変化に対する経済の感応度が通常より大きくなっている:
    世界的にドル建て他の債務が増大したため。
  • 景気後退は社会的・政治的緊張を悪化させる

ダリオ氏の危機感の背景にはいくつか理由がある。
まず、フィリップス曲線への疑問。
最近ジャネット・イエレンFRB議長も言及しているが、雇用が改善すれば賃上げが起こりインフレが上昇するというフィリップス曲線の解釈が現実的でないことが明らかになりつつある。
すでに米国の失業率は十分に低く、金融政策を多少引き締めてもインフレ圧力はなくならないとの楽観論には疑問符がついている。

次に、1937年との類似
1937年は大恐慌から立ち直った米経済・市場がピークを迎えた年だ。
FRBは金融引き締めに転じたが、小幅だったにもかかわらず経済・市場は自己強化的な下落に見舞われている。