ラインハート:ミサイルとレア・ディザスター・リスク

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著書『国家は破綻する』で有名なハーバード大学Carmen M.Reinhart教授が、レア・ディザスター・リスクという概念を紹介している。
現在の低金利環境はこの概念を用いると理解しやすいのだという。

中心的な考えは、誰も戦争・飢饉・疫病・社会的崩壊など旧約聖書型イベントの発生を除外できないということだ。
・・・
(レア・ディザスターは)度々起こることでないため、メイン・シナリオを考えるのに用いられる確率分布の滑らかな中心値から遠いところに置かれている。

ラインハート教授のProject Syndicateへの寄稿のテーマは経済学者Robert Barroによって展開されたレア・ディザスター・リスクだ。
レア・ディザスターとは文字通り《めったにない災害》。
レア・ディザスター・リスクとは《めったにない災害が起こるリスク》のことだ。

低金利=低成長とは限らない

レア・ディザスター・リスクが発現してしまうと、金融市場には何が起こるのか。
これは深刻な不況を振り返れば明らかだ。

「大恐慌の経験から、産出が急降下した時、金融市場で予想されることがわかる:
インフレ、そして米国債の名目・実質利回りが急低下する。
安全資産での長期投資は貴重な保険になるため、イールド・カーブはフラット化する。
国債利回りが低下するにしたがい、それに比べてスプレッドは拡大する。」

ラインハート教授は、レア・ディザスター・リスクの考えに立てば、現状の多くの論点が理解しやすくなるという。

  • 低金利は必ずしも低い潜在成長率を意味しない
    「むしろ、安全資産の奪い合いが過熱しているのだ。」
  • これは財政拡大を勧めるものではない
    足元は低金利でも循環的な需要拡大が起こった後に低金利が続くとは考えるべきではない。
  • 先進各国の中央銀行の低金利は必ずしも十分な金融緩和を意味しない
    金融政策が緩和的か否かは、市場金利と均衡金利の違いで決まるので、均衡金利が低い日米欧の政策金利はそれほど低くないかもしれない。

(次ページ: レア・ディザスターが金融抑圧を生む)