ポール・シンガー、ウォーレン・バフェットに宣戦布告

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「世界で最も恐れられる投資家」と呼ばれるポール・シンガー氏が、テキサスの送電会社Oncorを巡ってオマハの賢人ウォーレン・バフェット氏に戦いを挑んでいる。
投資先から見て対称的と言えるこの2人が、オンコー争奪戦をエスカレートさせている。

バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイはかねてから電力関連事業強化のためオンコーとその親会社Energy Future Holdings(EFH)に注目してきた。
7月上旬にはバークシャーによるオンコー買収観測が報じられ、対価は170-190億ドル程度になりそうだと噂された。
実際、同月7日に同買収が発表され、Bloombergは次のように報じている。

「バークシャーのエネルギー部門はオンコーの親会社であるエナジー・フューチャー・ホールディングスを取得することで合意した。
再編後のエナジー・フューチャーの買収額は全て現金で90億ドル(約1兆円)。
オンコーの全株式の価値を約112億5000万ドルと評価していることが示唆されている。」

この112.5億ドルという株式の対価が市場関係者の間で話題となった。
取引条件や引き継ぐ債務等の金額にもよるので正確な議論はできないが、112.5億ドルが当初の予想金額170-190億ドルと大きく乖離していたためだ。
被買収側や電力を管轄する当局の意向で、経済的観点を軽視してバークシャーが選ばれたのではとの憶測を生んだ。
実際「州当局は1週間前に公共の利益にならないとして、3度目となるネクステラの180億ドル規模の買収提案を却下したばかり」であった。

金銭面を除けば確かにバークシャーは被買収側にとって望ましくやりやすい株主だろう。
いくつか例外が出てきたとは言え、バークシャーの買収先の中にはハンズ・オフの投資を受けたものも多い。
しかし、このことは既存の株主・債権者にとって有利というわけではない。
親会社EFHは破産法の適用を受け更生計画を実行中。
既存の株主・債権者にとっては、なるべく買収対価が高くなることが投資回収を増やすカギだ。

シンガー氏率いるElliott Managementもまたかねてよりオンコーを狙っていた。
同氏はアクティビスト投資家として知られ、Bloombergは最近「世界で最も恐れられる投資家」と題する特集記事を掲載している。
そのシンガー氏は、バークシャーによるオンコー買収が公表されると、水面下で当局など関係者との協議を進めた。
バークシャーによる買収手続きを遅らせるためだ。
こうした時間稼ぎの間に、シンガー氏は買収に必要な資金調達を進めていたとBloombergは報じている。

そしてエリオットは、中間持株会社のLBO債権60百万ドルをフィデリティから買入れ、同調するSunrise Partnersとあわせて全クラスの債権で過半数を握った。
これにより、エリオットはバークシャーによる買収提案を否決する見込みだ。