米ドル

ベンジャミン・コーヘン:米ドルからの資本逃避の懸念

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UCサンタバーバラのBenjamin J. Cohen教授は、トランプ政権の下で米ドルの準備通貨としての地位が揺らぐのではないかと心配している。
それは米国の没落であるとともに、世界の投資家にとっての災難になりかねない。

過信してはいけない。
この数か月、市場はトランプへの不信を匂わせている。
現時点では、新たな危機が起これば、米ドルからの資本逃避が起こる可能性がある。

コーヘン教授はProject Syndicateで、ドル危機の可能性に言及している。
ほとんどの人はこうした可能性のついて否定的な意見を持っている。
いつかは米ドルが基軸通貨の地位を譲る時が来るだろうと思いつつも、それが今だと考える人は皆無のはずだった。
米国に新たな特異な大統領が生まれたことで、確率ゼロがゼロではなくなったのかもしれない。
教授は、そうした事態になれば米国が軍事的対立と同時に通貨危機に対処しなければいけなくなると警告している。

コーヘン教授が可能性ゼロを否定する一つの理由は、大統領選後の為替など市場動向にある。
トランプ大統領がナンセンスなことをツイートする間に、投資家はスイスや日本に代替的なセーフ・ヘイブンを探しているのだという。

米大統領選(11月8日)前後の米ドルの実効為替レート
米大統領選(11月8日)前後の米ドルの実効為替レート

コーヘン教授は、ドルが世界の準備通貨であることについて、トランプ大統領がメリットよりコストにばかり注目していると危惧する。

「トランプ政権は弱いドルを望んでおり、世界のセーフ・ヘイブンの役割を他に譲りたいと考えている。
しかし、(準備通貨の)譲位は歴史的にも危険で近視眼的なものだ。
価値の保存手段としてのドルの人気は、米国に『途方もない特権』を与えている。」

大統領選で他国の為替操作を批判していた頃、トランプ候補は通貨発行益のことを正しく理解していたのだろうか。
貯蓄不足の国で双子の赤字を続けてもさしたる危機を迎えなかった理由を正しく理解していただろうか。
米国の圧倒的な軍事力はどうやってファイナンスされているかを理解しているのだろうか。
コーヘン教授は、大統領の暴走に神経をとがらせる。

「世界の金融システムにおける圧倒的地位を犠牲にすれば、米国は何も『偉大』でなくなってしまう。
トランプがドルを試しすぎれば、おそらく後悔することになる。」