ブラックロック

ブラックロック:過去は参考にならない

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資産運用の世界最大手BlackRockのRichard Turnill氏が、米市場に対する警戒感を払拭しようとしている。
最大手の論調には、過去のバブルを彷彿とさせるところがある。

史上最高値が更新されるごとに、バリュエーションが伸びきっているとの議論が避けられない。
その前提にあるのは、バリュエーションが長期的な平均に縛られ、必ず回帰するというもの。
わが社は異なる見方をしている。

ターニル氏が自社のブログで、第4四半期も米経済・市場は好調を持続するだろうと予想している。
その議論は《This time is different.》というスタイル。
過去のバブルで何度も語られ、後に失笑を買ってきたロジックだ。
では、ターニル氏があえてこういう論陣を張った根拠とは何だろう。

過去との比較は、構造的な低金利の世界では有用性が小さくなる。

ここで注意したいのは、ターニル氏はFRBの金融引き締めにともない債券利回りが上昇する可能性を認めている点だ。
一方で「構造的な低金利」を前提とするのは(デュレーションの違いがあるのかもしれないが)やや整合性に欠ける印象を受ける。
そこで、さらに読み進めて見ると、なんとも素直に入ってこない命題が続く。

「構造的な低金利を一因として、わが社は将来リターンが過去のリターンとは異なるものになると予想している。
結果として、株式バリュエーションの数字は過去の平均まで下がらないと考える。
この見方からすれば、株式のバリュエーションはそう極端なものではない。」

読み進めても何も出てこない。
自然利子率が下がれば高い株価が正当化されるのは事実だ。
しかし、他の条件が変わらないとすれば、低金利と高株価とは同値にすぎず、この3文は何も言っていないに等しい。
さらに、資産クラスへの言及:

「概して、投資家はリスク・テイクの報酬を十分に得ており、わが社では債券より株式を選好している。
上記ファクターとともに欧州、日本、新興国を選好している。」

を読むと、苦しい胸の内さえ見えてくる。
金利上昇が視野に入ってきた今、債券が嫌われるのは当たり前。
金利上昇を見込むなら、債券より株式を選好するのは理に適っている。
その上で、米国以外の地域の株式を推奨している。
ブラックロックは少なくとも相対的には米国株が割高と考えていることになる。

読めば読むほど、今後も米国株に強気のままでいられるとは鵜呑みにできなくなってくる。
しかし、一つ確かなことがある。
消去法で考える限り、米国株はなかなか選択肢から外しにくいということだ。