フィッシャー副議長:数百万が職を失い家を失った

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スタンレー・フィッシャーFRB副議長が、トランプ大統領のドッド・フランク規制撤廃について危機感を滲ませた。
このまま規制が緩和されれば、いつか突然悪いことが起こるという。

ドッド・フランクと金融危機について少し話しておきたい。
これは深刻な話だ。
米国は2007、2008、2009年にとても悪い経済を経験し、FRBが果敢に対処しなかったらもっともっと悪くなっていただろう。」

CNBCのインタビューに軽妙に答えてきたフィッシャー副議長が、金融規制緩和のテーマになったところで真剣な面持ちになった。
それまでの笑顔が消え、訴えかけるような口ぶりで熱く語り始めたのが印象的だった。
副議長は、楽天的な米社会を深く心配しているようだ。

「米国は金融危機に見舞われたことを忘れてしまったかのように見える。
金融危機は銀行その他の金融システムの振る舞いが引き起こしたものだ。
経済に巨大な打撃を与え、数百万の人が職を失い、家を失った。
あれは短期間の通常の不景気ではなかった。
あれは巨大だった。
世界の他の地域にも影響を及ぼし、世界における米国の立ち位置にも影響した。
それを忘れてはいけない。」

100年に一度の危機と言われたサブプライム/リーマン危機。
仮に100年が大げさだったとしても、大恐慌以来の激震であったことは間違いなかろう。
この危機にFRBは平時ではありえない、《非伝統的》とラベルのついた超金融緩和で対処した。
そのおかげで市場は危機前の水準に戻し、史上最高値を追い続けている。

いつかは撤収されるべき量的緩和と多くの人が高いと見る市場が共存している。
この共存の持続可能性が問われている中、さらに金融危機への反省から設けられたドッド・フランク規制が大幅に緩和されようとしている。
主導するのは銀行家・投資家・不動産屋からなるホワイト・ハウスだ。

「頑強な金融システムは経済が相応の率で成長を続ける上でとても重要だ。
金融システムの構造強化のための変革を廃止しようという行為は極めて危険だ。」

フィッシャー副議長は危機感を隠さない。
米市場のこの楽観こそアニマル・スピリットの現れであり、それが米経済の回復・米市場の右肩上がりの一因なのだろう。
一方、四半世紀前のバブルを忘れられない日本は(日銀が買い上がった国債を除けば)バブルを心配する必要こそないが、鈍い経済成長の持続に喘いでいる。
真綿で首を絞められるのがいいのか、楽しめるだけパーティを楽しめばいいのか。

「政権が廃止しようとしているドッド・フランク規制のルールの中には、廃止すればとても深刻な潜在的帰結をもたらすものがある。
すぐにではなく、状況が厳しくなった時にそれが起こる。」