ピーター・シフ:保護貿易がバブルを終わらせる

ピーター・シフ

Euro Pacific CapitalのPeter Schiff氏が、自国通貨の購買力にまつわる発言をしている。
永年、米ドル安を予想してきたシフ氏は、名目の数字だけで判断することの危うさを指摘している。

かつて共和党から上院議員を目指したこともあるシフ氏だが、トランプ次期大統領に対しては極めて批判的だ。
選挙中のトランプ氏は、株式市場がバブルだとして民主党を批判していたが、今ではトランプ・ラリーを自分の手柄としている。
シフ氏は、市場が下げに転じれば、トランプ氏は再び人のせいにするのだろうと皮肉っている。
そういえば、似たようなことが他の国でもあった。
そうした場合、自身の失敗を糊塗するため、国の将来を考えない無茶な政策が動員されかねない。

こんなありさまだから、シフ氏は、トランプ・ラリーに浮かれる市場を冷めた目で見ている。
長らく米ドル暴落を予想してきたシフ氏からすれば、長い目で見てドル建てでのものの見方は意味をなさないからだ。

「米ドル建てで測れば、すべてのものが上げている。
もちろん、いつかは必ずダウは20,000をつける。
問題は、すぐにそうなるかだ。
そうならない場合、いったん下げても結局は高インフレにより20,000をつける。
その時のダウ20,000とは、どれほどの購買力に値するのか?
それによって話はまったく違ってくる。」

名目の数字で議論をするのは簡単だが、高インフレの世界がやってくれば、実質(=インフレ調整後)の数字とまったく異なる印象を与えるだろう。
真実の姿は実質の数字に表れているといいたいのだ。

シフ氏の心配は実体経済にも及ぶ。
トランプ氏が公約した保護主義的政策が家計を苦しめるだけでなく、国内産業の助けにならないと指摘する。

「輸入品のコストが上昇しても、アメリカ人が中国製品を買うのをやめてアメリカ製品を買うとは思えない。
そうじゃなく、アメリカ人が中国製品に高い値段を支払わなければならないだけだ。
そのお金がなければ、前のような量を買えなくなる。
輸入コスト上昇の結果起こるのは、消費の減少とバブル経済の縮小だ。」

弱気バイアスはいつものことだが、保護主義の問題点を的確に指摘している。
自由貿易が進展すると私たちは忘れてしまいがちだが、安い輸入品を購入できることは自由貿易の最大の果実の一つである。