ビル・グロス:QEフォレバー

Share

債券王ビル・グロス氏が月例の書簡で過去を振り返り未来の金融環境を予想した。
債務に依存した金融主導経済は低金利でしか維持できず、日欧は量的緩和をやめられないという。

2003年の観察が今も

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 グロス氏は自分が2003年に書いたメモを紹介している。
2003年といえばITバブル直後のどん底、サブプライム危機の4年前だ。
メモには3項目の観察が書かれている。

「1.過去10年とは異なり、私たちは過剰な債務を抱えた金融本位の経済の中にいる。
短期金利を1979-81年のように引き上げるのは不可能だ。
調達コストを低く抑えるため、(金利に)天井を設けるなど、あらゆる手段を用いなければならない。」

私たちはすでに2003年には過剰債務を抱えていたのだ(あるいはそう思う人がいた)。
1979-81年と言えばボルカー・ショックの頃。
グロス氏は、仮に過剰債務が存在しなければ、強烈な金融引き締めを講じるべきと考えていたのだ。
理由はITバブルの反省でもあるし、次なる危機(サブプライム/リーマン危機)の防止でもあったのだろう。

金融抑圧の開始

「2.債務の保有者はリフレによって排除されなければならない。
債務保有者のリターンは『(金利)シーリング』で頭打ちにし、インフレが元本の購買力を蝕むようにする。」

FF金利(緑)、CPI(赤)、長期金利(青)
FF金利(緑)、CPI(赤)、長期金利(青)

グロス氏は2003年の昔から金融抑圧を指摘していたのだ。
ただし、当時はまだ長期金利がCPIより沈むことはなかった。
当時はFF金利、つまり短期金利がCPIより押し下げられるに過ぎなかった。
(それでもたいしたことではあるが。)

ドルは下がらなかった

「3.通貨(米ドル)は下がらざるを得ない。」

米ドルの実効為替レート
米ドルの実効為替レート

この予想だけは必ずしも当たっていないように見える。
想定したほどのインフレがなかったためだろう。
あるいは、それは何か金融市場や為替市場に不整合な部分が存在することを指しているのかもしれない。

(次ページ: 悪化する事態)