ビル・グロス:On Money? Of Money?

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債券王ビル・グロス氏が「Show Me The Money.」と題する月例書簡を公表した。
わずかな現金から信用創造によって帳簿上のお金が作られていくことからくるリスクを綴ったものだ。

「私は私のお金から得られるリターンについて心配はしていない。
お金が返ってくるかを心配しているんだ。」

グロス氏は、前世紀初めに活躍したエンターテイナーWill Rogersの言葉を引用した。
(実際には、これはロジャーズの言葉ではないとされている。)
トランプ政権が成立した今、グロス氏の心配はまさに「お金が返ってくるか」なのだという。

グロス氏は書簡の中で、1ドルの預金から信用創造が進むプロセスを説明している。
誰かが1ドルを預金すると、その1ドルをピザ屋が設備資金として借り入れ、その1ドルはまた銀行に預けられる。
1ドルが2ドルに化けたのである。
銀行の金庫には現金は1ドルしかないのに。
この物語に対して、グロス氏の長男Jeffはこうコメントしたのだという。

「いいことのように聞こえる。
問題になるのは、ピザ屋(サブプライム・ローンと思えばいい)が増えすぎて、ローンの金利が払えなくなると、自分が1ドルの持主だと思っている人たちが取り戻しに殺到する時だろうね。」

グロス氏は「リーマン・ブラザーズみたいだ」とつぶやいた。
ピザ屋が建っていくのは景気のいいことだが、膨れすぎた債務は何らかのショックで逆回転を起こしかねない。

金利が高すぎ(信用対GDP比率も高すぎ)れば、潜在的にリーマン危機型のブラック・スワンが顕在化しうる。
逆に金利が低すぎ(信用対GDP比率も低下す)れば、預金者・年金基金・保険会社が債務履行に充てるためのリターンを稼ぐことができず、システムが崩壊するだろう。

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経済成長が高まりすぎれば、金利上昇により金融危機が起こりかねない。
経済が冷え込めば、預金者・年金・保険が破綻しかねないからだ。

グロス氏は、ジャネット・イエレンFRB議長を「現代のゴリディロックス」と呼び、これまでうまくやっていると評する。
一方で、3回に及ぶQEの実施で、FRBの柔軟性は失われたとし、危うい現状を警告する。

「高いレバレッジのかかった金融システムは、ニトロ・グリセリンを積んでデコボコ道を走るトラックのようなものだ。」

こうした金融システムの現状を見れば、「トランプの夢」に酔えるものではないとグロス氏は言う。
レバレッジの高まった世界では、金利は高すぎても低すぎても不幸を引き起こす。

「2017年以降は、あなたのお金につくリターンより、あなたのお金が返ってくるかを心配しなさい。」