ビル・グロス:金融抑圧は長く続く

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債券王ビル・グロス氏によれば、債務を膨張させた政府は最終的には債権放棄を受けることになるだろうという。
債権放棄をする債権者は、言うまでもなく国債を買い入れた中央銀行だ。

「最終的には中央銀行は保有国債の金利を0%にして、永遠に債権放棄することになると思う。」

グロス氏はBloombergキャスターから《中央銀行が債券を全部買い上げて、市場から債券がなくなったら何が起こるのか》と尋ねられ、こう答えている。
マネタイゼーション、あるいはヘリコプター・マネーによる財政再建である。
グロス氏は、トランプ大統領のスタート11日で、「多くの可能性のある行動、多くのSound and fury(意味のない騒音)」を聞いたとし、プラス・マイナス・ゼロとはいかないだろうという。
今でも確実なのは、トランポノミクスで米債務が積み上がることだからだ。

「財政政策という観点では財政赤字の拡大であり、法人税を何%にするかによるが、GDPの3-4%のペースで拡大していくだろう。
最終的には債務対GDP比率は100%程度に拡大するかもしれない。」
(米国の同比率はネットの数字で約8割。)

グロス氏は、膨張した債務を抱える政府財政を維持するため、低金利が継続すると予想する。
財政を助けるために金利を押し下げインフレを誘導する金融抑圧は歴史を振り返っても珍しくないと語る。
しかも、何十年にもわたって続きうるという。

1935-50年、FRBは金融抑圧を実行していた。
これは実質的に1979年ボルカーFRB議長(当時)が反転させるまで継続した。」

グロス氏は財政政策に後ろ向きなわけではない。
過去5-15年の間、欧米はケインジアン・タイプの財政政策が必要だったのに実施してこなかったのだと言う。

「経済が再び2-3%成長に回帰するには、財政政策が必要だったんだ。
アニマル・スピリットも見られなかった。
投資対GDP比率の低さがそれを物語っている。
マネーは実体経済ではなく株式市場に戻ってしまっている。」

心配は財政政策だけではない。
強すぎるドルもまた問題だ。
グロス氏は、強すぎるドルが世界経済・米経済にとって脅威であると語った。

「トランプ大統領は個別企業・個別産業に働きかけて国内回帰を迫っている。
それは、個別企業や個別産業にはいいことかもしれないが、結果ドル高となるなら明らかにプラスでない。
現在のシステムを継続するために、国際金融市場・国際経済には弱いドルが必要だ。」