ビル・グロス:安定は不安定をもたらす

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債券王ビル・グロス氏が、FRBはFF金利引き上げを急がず、バランスシート縮小を始めるべきと話した。
性急なFF金利引き上げはイールド・カーブ平坦化を通して景気減速をもたらすという。

「経済成長の停滞を起こすためにイールド・カーブを平坦化すべきではない。
国内だけでなくグローバルにもレバレッジが高まっているのだから。」

グロス氏はBloombergで、月例書簡と同じ警告を繰り返した。
多額の債務に依存する経済や経済主体では、平坦なイールド・カーブは悪影響を及ぼすと説明した。

「短期金利上昇とイールド・カーブ平坦化は基本的に景気減速をもたらす。
債務者はLIBORプラスいくらといったタイプの金利で調達することが多く、短期金利への依存が高い。」

長期固定の住宅ローンなどとは異なり、事業資金などでは短期金利に連動する金利で借り入れている債務者も多い。
こうした債務者の中にはゼロ金利同然で多額の借金をしていた者も少なくない。
ゼロ金利はわずかな上昇でも大きな利払い増をもたらす。
4%が5%に増えるなら1/4増ですむが、1%が2%に増えるなら倍増になるといった具合だ。

こうした問題を金融面から解決するには長期金利を引き上げることだ。
これにより、そもそも低採算のプロジェクトが実行される問題は軽減される。
すでに低採算でスタートしてしまったプロジェクトは救い切れないかもしれないが、そうしたプロジェクトは当初から「ゾンビ企業」だったとも言える。
この解決策としては、米国には破産の文化が根づいている。

「FRBは保有国債のテーパリングを始めるべきだ。
そうすれば、イールド・カーブはスティープ化するだろう。
10年国債を買い入れず、5年国債を買い入れず、保有国債が償還を迎えさせる。
そうすれば長めの利回りが10、20、30ベーシスと上がっていき、イールド・カーブはスティープになり、銀行収益も改善するだろう。」

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 グロス氏は、FRBもこの観点からバランスシート縮小を急いでいるのだろうと語る。
経済・市場とはよくできている。
日銀もイールド・カーブ・コントロールという手段こそ違うがコンセプトは同じ方策を取り出してから、事実上のテーパリングが進み始めた。
経済の健全だった部分が、非伝統的な金融政策の中で悲鳴を上げ、それに対処をしたら同じ結果に行き着いたのである。

グロス氏は投資推奨を尋ねられ

「金融環境が緩和的である下では、結局はハイマン・ミンスキーが言ったように『安定は不安定をもたらす』。」

と語り、具体的な推奨をしなかった。
FRBは正しいことをやっているようだが、それでも「不安定」から完全に逃れられるものではないようだ。