ビル・グロス:ブードゥーとムッソリーニ

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債券王ビル・グロス氏がトランポノミクスに懸念を強めている。
企業経営に干渉するやり方は結果を出せないと批判したほか、トランプ氏の財政政策には理屈のないものが散見されると心配した。

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 トランプ次期大統領が、製造業へのプレッシャーを強めている。
まずは、米キャリアや米レックスノードの生産拠点のメキシコ移転だった。
キャリアは税優遇と引き換えに移転を撤回し、レックスノードは移転を断行している。
次はフォードとGMのメキシコ工場新設だ。
これは、移転とは言えず、米雇用が直接的に奪われる話ではなかったが、トランプ氏はお構いなしだ。

そして、次に狙われたのが日本のトヨタだった。
トランプ氏は6日、こうツイートしている:

「トヨタ自動車がメキシコのバヤに米国向けカローラの製造工場を作るという。
ありえない!
米国に作れ。
さもなくば高い関税を払え。」

トランプ氏は選挙戦中、米国から移転した工場の製品には35%の関税をかけると公約していた。
しかし、これは移転でないばかりか、外国企業(のグループ会社)に対する干渉だ。
この理屈を許せば、米国内で販売される製品はすべて米国内で製造しなければならなくなってしまう。

米国の現行の自動車関税は2.5%。
(NAFTA内はゼロ。)
WTOに加盟している米国が、これを超える関税を一部の輸入だけに課すことはできない。
米国がWTOを脱退するつもりなら、米国からの輸出の相手国は心置きなく報復関税を課すことができる。
米国の家計・輸出産業に大きな苦痛が襲うことになる。

こうしたちぐはぐなトランプ氏の発言について、ビル・グロス氏がBloombergでこう話した。

「製造を米国内に回帰させるよう企業に促すなど、任期前の政策にはいい点もあった。
しかし、大昔のイタリアを少し思い出させる。
ムッソリーニの政府が企業の利益を統制していた時代だ。
行きすぎはよくない。」

ファシズムとまでは言わないとしながら、特定の企業・産業をピン・ポイントで狙い撃ちして、声明と脅迫で方針を変更させるやり方は結果を出せないだろうと語った。

グロス氏は、トランポノミクスがブードゥー経済学以下だとするローレンス・サマーズ元財務長官の考えに一部賛同している。

  • 法人減税が経済を刺激し逆に税収を増やす
  • レパトリ減税を行えば国内の経済活動が活発化する

などの主張は、過去の例から見ても成功しないと指摘した。

グロス氏は世界で拡大する債務について見解を尋ねられ、世界の債務がGDPの350%と史上最高である点を指摘した。
最近のドル高が定着すれば、メキシコほかの新興国でのドル建て債務の負担は上昇し、IMFなどに救済を求める国が出てきかねないと懸念を呈した。