ビル・グロス:お金でお金を稼ぐ時代は終わる

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債券王ビル・グロス氏による今月の月例書簡のタイトルは「どうやって稼ぐか」だった。
ニュー・ノーマルや趨勢的停滞と言われる実体経済や中央銀行の極端な金融政策が、投資家を「お金でお金を稼ぐ」行動に走らせたというものだ。

「あなたの資産は低リターンに終わる可能性があり、今は成功している『お金でお金を稼ぐ』戦略は深刻な脅威にさらされている。
これがいつ起こるかはもちろん投資家にとってはジレンマ、政策当局にとっては謎だ。
しかし、中央銀行の量的緩和とほぼ永遠に近い低金利政策によって生み出された青空に見とれてはいけない。
すべての市場のリスクはますます高まっている。」

グロス氏は市場のリスクの高まりを警告する。
過去しばらく、金融経済が実体経済を圧倒し、両者の間に乖離が生まれているとの考えだ。
グロス氏は、社会が事業ではなく「お金でお金を稼ぐ」ことに傾いた原因を、経済と政策の変化に求めている。
経済の潜在成長率が低下する中、投資家は事業ではなく紙切れへの投資に軸足を移し、それを金融当局が助けてしまったのだ。

「実体経済に投資して稼ぐ代わりに、預金者/投資家はますます金融経済での金儲けに傾いていった。
お金でお金を稼ごうとしたのだ。
さらには、主要中央銀行による8兆ドル近い量的緩和のための資産購入、短期借入金利のゼロ近傍またはマイナスへの保持が、この金融政策の趨勢的シフトを極端に儲かるものにした。」

実体経済への焦点はぶれ、本来めざすべき方向性は忘れ去られた。

「投資家はお金でお金を稼ぐことが儲かる事業だと気づいた。
そして、生産性向上こそが戦略のドライバーであるとする古き時代の信仰の代わりに、中央銀行によるサポートを得たのだ。」

こうして実体経済と金融経済の主従が逆転した。
本来、金融経済とは実体経済のファンダメンタルズや財政政策の裏づけがあって成り立ってきたとグロス氏は指摘する。
しかし今、現実の世界では低金利がゾンビ企業を温存し、社会に必要な保険・年金・銀行などの経営を圧迫している。

商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。お買い物される際には、必ず商品ページの情報を確認いただきますようお願いいたします。また商品ページが削除された場合は、「最新の情報が表示できませんでした」と表示されます。 「ますます破壊的になる金融政策に支えられた欠陥のある金融資本主義が実体経済をサポートではなく浸食し始めている。」

グロス氏は何も金融資本主義を否定しようというわけではない。
そうではなく、金融経済は実体経済と一体であるべきと主張しているのだ。
金融は実体経済の血液であるはずが、血管(金融経済)が詰まり、実体経済とのつながりを失っている。
いつか、金融経済がそれだけでは支えきれなくなる。
そうなると、金融経済は実体経済の実勢に引き戻されることになるだろう。

こうした予想が投資戦略に与えるインプリケーションは何か。

「リスク軽減を取り入れた戦略は、最終的には中央銀行の量的緩和で作られた『見せかけの』確実な勝者に勝るだろう。
大切なのは実体経済だ。
世界の実質経済成長は平均以下であり、そうあり続けるはずだ。」