バンカメ:日本は失われた数十年を脱する

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Bank of Americaのチーフ・エコノミストEthan Harris氏が、日本に歴史的な瞬間が訪れつつあると予想している。
バブル崩壊後、四半世紀にわたって苦しんできた長期停滞から日本が脱するチャンスにあるのだという。

ハリス氏はBloombergに対して、日銀が導入したイールド・カーブ・コントロールを「世界的に見て2016年最高のニュース」と評価した。
イールド・カーブ・コントロールは、短期側を日銀当座預金への付利、長期側を長期金利ターゲットで操作し、イールド・カーブを望ましい水準・傾きに保とうとする手法だ。

バンカメは来年2017年の日本の成長率を1.5%と予想、欧州の1.4%を上回り、米国の2%からもさして遜色ないと言う。
こうした日本への楽観の理由は、労働市場の引き締まりだ。
歴史的に有効求人倍率改善は賃金上昇との相関が高いと説明し、改善が進む有効求人倍率から賃金上昇への期待を示唆する。

さて、この中心的根拠として挙がっている有効求人倍率と賃金の関係は信用していいものだろうか。
四半世紀のトレンドが転換すると予想するほどの説得力があるものなのだろうか。
検証する必要があろう。


有効求人倍率は新卒を除きパートを含む。現金給与総額指数は季節調整済み。

有効求人倍率の改善が賃金押し上げ圧力を及ぼしているのは明らかだ。
しかし、それを上回る趨勢的な力が現金給与総額に影響を及ぼしてきたように見える。

ハリス氏の「日本への悲観論は行き過ぎ」との指摘は正しい。
現在の日本経済は、近年になくいい状態にある。
需給ギャップはほぼ解消し、為替も敵失により予想外の円安に振れた。
これほど有利な状況に置かれたのは、第1次安倍政権以来だろう。
《歴史は繰り返す》のか、《This time is different.》なのか。
芯から弱気が染みついた日本人にはまだ確信が持てないところなのではないか。