バフェット:Appleはレパトリ減税を待っている

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ウォーレン・バフェット氏がバークシャー・ハザウェイ定時株主総会の直前、CNBCのインタビューに応じた。
3倍弱に買い増したAppleの莫大な手元資金についての言及からは、失敗したIBM投資とは異なりApple投資の錬金術としての性格の強さが感じ取れる。

「Appleは(レパトリ)減税を待っているのだろう。
いつかは海外の資金を米国に回収するだろう。」

米国の法人税率は相対的に高い。
だから、米系多国籍企業は利益を国内に回収しない。
法人税率の低い国・地域に利益を滞留させておけば、その気になれば、税率の差の分を永遠に繰り延べておける。
こうした滞留資金は米企業全体で3兆ドルとも言われている。
トランプ大統領はこれに目をつけ、レパトリの際の課税を減税しようと考えている。
その資金が国内で投資に回れば、米経済にとって大きなプラスであろう。

レパトリ減税の恩恵を受ける最右翼はAppleのような会社だ。
税率の低いアジアで作って、税率の高い先進国で売る。
利益を製造側に寄せておけば、税金の繰り延べができる。
実際にレパトリ減税となれば、過去のストックを低い税率で回収できる。
税負担の軽減は株高要因であり、Apple株を昨年しこたま仕入れたバフェット氏にとってはまさに濡れ手に粟だ。
これが1つ目の錬金術だ。

「Appleが自社株買いをしたことを喜んでいる。
・・・
私は自分が投資先の株を買いたいとき、その会社自身が自社株買いをするのを歓迎している。」

自社株買いは株主が資金を支払うことなく持分比率を上げることができる。
もちろん発行体はキャッシュを支払うのだが、それでも大株主にとっては影響力・支配力が増すのはメリットだろう。
これが2つ目の錬金術。

「いい買い物なのは明らかだ。
自社株買いが行われる場合、その会社以上にその会社のことを理解している者はいない。」

投資対象を一番よく知っているのはその会社・経営者・主要従業員だ。
投資家とインサイダーの間には情報の非対称が存在する。
自社株買いとは、いわば合法的なインサイダー取引であり、絶対得をするという保証はないが「いい買い物」であることは間違いなかろう。
これが3つ目の錬金術。

バフェット氏は、これらの錬金術が成り立つ大前提を説明する。

「株式投資はある価格では意味があるが、ある価格では無意味になりうる。
価格に依存する営みだ。
ほとんどの会社はその点を考えていないが、それを考えるのが私の流儀だ。」

自社株買いはどんな価格でも買えばいいというものではない。
経営者が最善を尽くして推計する自社株の経済的価値より市場価格が下回った時に実施すべきものだ。