バフェット氏の負けが続く

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先月テキサスの送電会社Oncor争奪戦でポール・シンガー氏に惜敗したウォーレン・バフェット氏。
今度はカナダのサブプライム・ローン会社Home Capital Groupへの出資で他の株主からNoを突き付けられた。

救済色の強い出資案であったが、株主の圧倒的多数はバフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイによる20%持分の追加出資案に反対票を投じた。
6月に出資・信用枠供与がアナウンスされた段階でホーム・キャピタルの信用不安が解消し、資産売却も進み、株価も回復した。
株主はこの状況に満足しており、わざわざ希薄化を招く追加出資を必要としなかったのだ。

再び苦杯をなめたバフェット氏。
とは言え、何も実りがなかったわけではない。
バークシャーはすでにホーム・キャピタルの筆頭株主であり、株価上昇と米ドル安の恩恵で含み益が出ているという。
バークシャーにとっては小さな額かもしれないが、やったかいはゼロではなかったわけだ。

Home Capital Group株価
Home Capital Group株価

バフェット氏の成功の一因は、競争することなく買収・出資をしてきたことにある。
バフェット氏は(金銭以外の部分について)寛容な条件で投融資する。
かわりに非競争で投資交渉ができる。
ところが、これが通用しなくなってきた。
投資先がより有利な条件を求めたり、投資家を横に並べて競争入札を求められることが多くなっている。

バークシャーの圧倒的な差別化が効かなくなっているようだ。
市場に流動性が溢れかえると、バークシャーのラスト・リゾートとしての売り文句は意味をなさない。
莫大な投融資額に対応できるという利点も、世間で潤沢な資金が投資されることを待っている今、バークシャーだけの売りではなくなっている。
そもそも投資先の経営者は株主の経済的利益を最大化するという責任を負っている。
米国においてはレブロンユノカル基準が示すとおりだ。
経営者は、その責任を果たす中での当然と結果として、さまざまな投資家の間でショッピングすることになる。
オマハの賢人だからと言って特別扱いはできない。

バフェット氏の競り負けは今後も続くのだろうか。
2つの道がありえよう。
流動性の海が長い間干上がることなく続くなら、バフェット氏の投資難が続くかもしれない。
海が干上がり危機が訪れるなら、その時バークシャーはラスト・リゾートとして再び眩く輝くことになるだろう。