バイロン・ウィーン:フリードマンは間違っていた

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Blackstone Advisory PartnersのByron R. Wien氏が月例の市場コメンタリーで、株式に強気の見方を示した。
最近言い続けている強気見通しから変化はないが、いくつか丁寧に説明されている点について焦点を当てておこう。

私の分析によれば、少なくとも2019年までは株式に有利な環境が続く。
しかし、この結論の根拠となった条件について変化がないかどうか注意していきたい。

依然としてウィーン氏は米国株市場について強気だ。
論拠については以前のコメントどおりなので、ここではいくつかの細かな視点に焦点を当てクローズアップしておこう。

ミルトン・フリードマンは間違っていた

まず一つ目はインフレについてのコメントだ。
タイトな労働市場と金融緩和からインフレ昂進を心配する投資家が多いのだという。

「ミルトン・フリードマンが『インフレとは常にどこでも貨幣現象だ』と言ったのは有名だ。
フリードマンなき今、彼は自身の言葉がもはや正確でない理由をエコノミストに答えることはない。
グローバリゼーションと技術革新が相まって低インフレが継続している。
高く評価され広く注目されてきたフィリップス曲線は、もはや予想のための価値を失っている。」

貨幣数量説もフィリップス曲線も大いにリフレの役に立ったとは言えない。
フィリップス曲線が本当に高く評価されてきたかはわからないが、少なくとも各国中央銀行はフィリップス曲線のロジックでインフレを誘導しようとしてきた。
つまり、金融緩和を行えば経済が改善し、失業率が下がれば賃金が上昇し、ついにはインフレが上昇するはずとのロジックだ。
ところが現実にはこれが起こっていない。

ITバブル崩壊の轍は踏まない?

一方で、資産価格は金融緩和と景気拡大に敏感に反応して上昇してきた。
FRBの金融引き締めが進む中でも資産価格に調整は見られず、むしろ史上最高値を試し続けている。
このまま放置すれば金融システムの安定を脅かすリスクが高まりかねない。
物価目標が達成されないのにFRBやECBが金融政策のスタンスを変更しようとしている一因はここにある。
インフレが高くない中での金融引き締めは、ウィーン氏にITバブル崩壊に至る1999年の利上げを思い出させる。

「インフレ上昇の証拠がないにもかかわらず、FRBは0.25%ポイントの利上げを決定した。
FRBは利上げを続け、FF金利は1999年6月の4.75%から2000年5月には6.5%へと上昇した。
この利上げは、テクノロジー・バブルが崩壊した時に経験した弱気相場の一因となった。
FRBは同じ過ちを繰り返しはしないだろう。」

強気派とはとことん楽観的だ。
中央銀行は経済を冷やしすぎず、かつ、金融安定も維持できるという、いわれのない信念が推論の前提となっている。
ITバブルの直後に住宅バブルを招いたFRBへの信頼は極めて高い。

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