ヌリエル・ルービニ:減税も簡単じゃない

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終末博士の異名をとるNouriel Roubiniニューヨーク大学教授が、トランプ政権と共和党の減税案を批判している。
減税はトランプ・ラリーの最大の材料であっただけに注目のテーマだ。

「現在トランプと議会共和党は税制改革に取り組んでいる。
まず法人税、次に個人の所得税と話しており、あたかも容易に実現するかのように言うが、簡単ではない。
とりわけ共和党の第1案は数兆ドルも財政赤字を拡大し、恩恵の99%は所得分布のトップ1%に集中するものだったからだ。」

ルービニ教授はProject Syndicateでトランプ大統領・共和党の虚構を暴いている。
大統領は中間層以下からの支持を集めたと言われているが、やっていることは真逆を向いている。
中間層が弱い者を切り捨てるのには助力するが、富裕層から富・所得を分配するつもりは毛頭ないようだ。
弱い者を切り捨てればいくらかコストが浮くのかもしれないが、富裕層から再配分するのに比べれば微々たるものと言わざるをえない。
トランプ支持者はいつまで忠実な支持者であり続けるだろう。

さすがに第1案を進めるのは共和党にとって(中間選挙での)自殺行為に近く、共和党は修正案を出している。
しかし、ルービニ教授はこれも「ミッション・インポッシブル」だという。

「ほぼすべての所得階層について中立的な減税を実行するには、共和党は多くの控除をなくし課税ベースを広げる必要があるが、これは政治的な支持を得られないだろう。
たとえば、共和党が住宅保有者の住宅ローン金利控除を廃止したら、米住宅市場はクラッシュする。」

結局のところ、中間層以下を救うための減税には富裕層への課税が必須なのだとルービニ教授は断じる。
同時にこうしたやり方をトランプ大統領が受け入れる可能性はないとも書いている。
教授からすればポピュリストには2種類ある:

  • 社会的な進歩主義的ポピュリスト
  • 擬似ポピュリスト金権政治家
もちろん大統領は後者だ。
では、落としどころはどうなるのか。

「共和党は、反例が圧倒的に多く存在するにもかかわらず、サプライサイド経済学にもとづくトリクルダウン税制が機能するとの自己欺瞞を続けるのだろう。」

このルービニ教授の予想が仮に当たるのだとすれば、少なくとも個人所得税減税については期待してはいけないということだろう。
富裕層の消費性向は中間層以下より低く、富裕層に恩恵のある減税では米経済を支える消費をそう増やさない。
リカーディアン的に言うなら、むしろ減らしてしまう。