デニス・ガートマン:恐怖指数の読み方

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コモディティ王デニス・ガートマン氏が、近日上昇しているシカゴ恐怖指数についてコメントした。
米国株市場は依然強気相場としながらも、VIX上昇を株価上昇と考えるのは早計と語った。

「VIXが弱気ムードにおいてどうして上昇だけを示唆するものとして受け取られているのか私にはわからない。
今起こっているのは、VIXの上昇が上下両方のボラティリティを持ちうるものであると理解されるつつあるということ。
ボラティリティは単にボラティリティの指標であって、弱気・強気の指標ではない。」

ガートマン氏はCNBCでシカゴ・ボラティリティ指数(VIX、シカゴ恐怖指数)の読み方を語った。
米国株市場が依然強気相場にあるとしながらも、今後市場のセンチメントは変化しうると指摘している。
ガートマン氏が指摘したのは、VIXが上昇すると株価が上昇するのではないかとの読みだ。

VIX(青)とS&P 500(赤)
シカゴ恐怖指数とS&P 500指数

なるほどこの1年を見るだけでもVIX上昇とともに株価が持ち直しているように見える。
もう少し長い期間ではどうか。

シカゴ恐怖指数とS&P 500指数(5年)

こちらを見てもVIX上昇とともに株価が持ち直しているように見えなくもない。
しかし、この法則は少々奇妙だ。
株価が上昇するならなんで《恐怖指数》なのだろう。

たとえば、シャープ・レシオと呼ばれるパフォーマンス指標はボラティリティが上がると(他の条件が同じなら)下がってしまう。
これは売りの要因となりうる。
株式のボラティリティが上がれば、シャープ・レシオの悪化を防ごうと株式をアンダーウェイトされたりするからだ。
それなのに、米市場では逆の話が流布していた。

この原因は何であろうか。
一つ考えられる仮説は、ガートマン氏の言うことが正しく、VIXは相場に中立ということだ。
上掲のグラフを見ても、大勢に変化があったと思われるVIX上昇は2015年夏(人民元切り下げ容認)と同年末-2016年初めだけ。
この2回の場合、決してボラティリティが収束後に上昇したとは言い難い。
それ以外のケースでは、確かにボラティリティ収束後に上昇しているが、これは元の軌道に戻っただけとも解釈できる。
正しい読み方は、ボラティリティ上昇とともに元の軌道を外れ、収束とともに元に戻ったということかもしれない。
そもそもの軌道が上げ相場だったため、ボラティリティがピークを打った後に上げ相場に戻ったのではないか。

問題は、大きな相場の転換点が訪れた場合だ。
少なくとも債券相場は転換点を打った、あるいは探っているというのがコンセンサスだろう。
ならば、株式相場もとの考え方は当然ありうる。
ボラティリティがどこまで上がり、将来の軌道はどうなっているのか。
それ次第で、ピーク後の行き場が違ってくるかもしれない。