セス・クラーマン、受託資産の一部を償還へ

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バリュー投資で有名なSeth Klarman氏がファンド・マネージャーを務めるヘッジ・ファンドBaupost Groupが、受託資産の一部を年内に投資家に償還する。
同社が投資家に資金を償還するのは2010年・2013年に続いて3回目。

Bloombergによると、最近、投資家はBaupostから一部資金償還の意思を伝えられたのだという。
現状、運用資産の42%が現金となっており、これに見合うだけの投資案件が見出しにくいための償還だという。

米市場はリーマン危機後の暴落の後、FRBの量的緩和など非伝統的金融政策に支えられて、大きな調整もなく上昇を続けてきた。
こうした相場では、バリュー投資家は往々にしてキャッシュを積み上げてしまうことがある。
特にクラーマン氏のように深追いをしないタイプの投資家は、上がり続ける列車から正しいタイミングで降りてしまう。
このタイミングは正しいのだが、結果的には深追いをするよりリターンが少なくなってしまうこともしばしばだ。

リーマン危機以降の米株価指数
リーマン危機以降の米株価指数

Baupostは先月、低ボラティリティがレバレッジを使ったリスク・テークを助長するとして、金融危機に発展する可能性を警告している。
そう考えながら、なぜ今キャッシュを投資家に返してしまうのか。
金融危機が来ると思うなら、その後に訪れる買い場までキャッシュを持ち続ければいいのではないか。
これには2つのポイントが想像されよう。

  • 金融危機に発展し、その後買い場がやってくるまで長い時間がかかると見込まれる。
    それまでキャッシュを持って、投資リターン(額ではなく率)を下げたくない。
  • これから金融危機が起こってしまうまで、さらに投資をExitしたい。
    それを見込むと、手元のキャッシュはあまりにも多すぎる。

すでに、米市場はイス取りゲームに入っている可能性がある。
やっかいなのは、

  • それでもしばらくはまだ上がりそう
  • 他に資金を置けるところが少ない

ことだ。
前者は意思の問題だ。
リスクを覚悟して浸かったままでいるか、それに背を向けるかの問題にすぎない。
ところが、後者は投資家の意思とは無関係に投資家を苦しめる。