スティグリッツ:既得権益者のための税制改正

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ジョセフ・スティグリッツ教授が、トランプ政権と共和党の税制改革案についてコメントしている。
この案では経済は改善せず、米政府債務は10年で数兆ドル規模で悪化すると警告している。

金権政治の政権メンバーのほとんどは、生産的な起業よりもレント・シーキングから富を得ようとしている。
政権は自分たちが得をすると期待しているのだろう。
共和党提案の税制改革は、ほとんどの人が予想する以上に企業・大富豪に大きな恩恵をもたらす。

歯に衣を着せないスティグリッツ教授がProject Syndicateで、トランプ政権と共和党の税制改革案を全否定している。
同法案は米国の課題を解決するどころか、ますます悪化させるのだという。
教授は現在の米国の4つの課題を挙げる:

  • 所得格差の拡大
  • 雇用の不安増大
  • さえない生産性成長
  • インフラ・教育制度の立て直し

一番手に挙げた格差問題。
教授は、共和党案が問題を悪化させると断じる。

「これら課題に対してトランプと共和党が提示するのは、ほとんどの恩恵が中間層(ほとんどが増税になる可能性がある)ではなく、米国の億万長者に回る税制改革案だ。」

ことの善悪は別として、こうなるであろうことはコンセンサスなのではないか。
つまり、共和党案には格差を悪化させる効果がある。

経済を改善することもない

それでも、共和党案への支持が存在するのは、真実か偽りかは別として、共和党案にもなんらかの理屈があるからだ。
それが、評判の悪いトリクルダウンやサプライ・サイド経済学だろう。
スティグリッツ教授は、大企業優遇となる共和党案は経済を改善しないと議論を積み上げる。

  • 米大企業はすでに数兆ドルものキャッシュを貯め込んでいる。
    「投資が十分でないのは、税前・税引後の利益が小さいためではない。
    税引後の企業収益のGDPに占める構成比は過去30年で約3倍になっている。」
  • 理論的にも、デット・ファイナンスの方が株主にとって有利。
  • 源泉地国課税制度(課税を米国内で発生した利益に対する課税に限る)は空洞化を招く。
    「これは単に税収を減らすのみならず、米企業に対して税負担の小さな場所への生産移転を奨励するようなものだ。」

(次ページ: 米財政は大きく悪化へ)