スティグリッツ:利上げを後悔するだろう

ジョゼフ・スティグリッツ教授が、激烈なトランポノミクス批判を展開している。
無茶な財政政策で景気を下支えしても、経済は悪化に向かうだろうという。

スティグリッツ教授は私心で吼えるような人ではない。
弱い者には優しいが、力を持つ者には良心にしたがって頑固に硬骨に妥協なく義務・責任を求める。
Project Syndicateへの寄稿では、完膚なきまでにトランプ氏の政策を批判している。
そこには優しさも希望もない。
何から何まで論理矛盾と無効を指摘する。
スティグリッツ教授の見立てが正しいなら、これからの米経済・市場は相当に荒れるはずだ。

ここまで完全な否定だと、読み方がわからない。
お伝えする意味があるかと迷ったが、ここでは金融政策にかかわる部分だけ紹介しよう。
スティグリッツ教授は、トランプ次期大統領の希望どおり利上げが進められると予想している。

「トランプは、FRBが利上げすべきと主張してきた。
12月初めに正常化への第一歩を踏み出したFRBは、ほぼ確実に利上げを進めるだろう。
そして、トランプはすぐに後悔するだろう。」

FRBにとっては、経済統計が良好な今は最大のチャンスだ。
実際、オバマ政権で経済は回復し、そこそこもっていた。

オバマ政権時代の実質GDP

しかし、この経済状態はトランプ氏が望んだ利上げによって悪化していくのだという。

「金融引き締めが財政刺激策の効果を上回る確率がかなりある。
そうなれば、現在進行中のオバマ政権による成長回復が損なわれてしまう。
利上げは建設業の雇用を減らし、ドル高をもたらし、貿易赤字拡大・製造業の雇用縮小が起こる。
まさに、トランプが約束したのと真逆だ。」

日本も円高ドル安を喜んではいられない。
スティグリッツ教授の予想するシナリオは、望ましくない揺り戻しを招きかねない。
それは、政治的(保護主義)手法でなされるかもしれないし、金融政策(緩和への回帰)によってもたらされるかもしれない。

スティグリッツ教授は、トランプ政権が近づきつつある今をこう語っている:

「米国と世界にかかる雲には、まったく希望の光がない。」

私たちは解決のない道を歩き始めたのだろうか。
市場の上げとのコントラストがなんとも不思議だ。