スティグリッツ:ならず者には国境(環境税)調整を

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ジョゼフ・スティグリッツ教授が、トランプ大統領のパリ協定離脱宣言を嘆いている。
イタい政治が続くことに耐えながらも、米国民の大半が啓蒙思想を放棄していないことに希望をつないでいる。

「米国以外の国は、ならず者の米国が地球を破壊するのを許してはいけない。
また、ならず者の米国が、(本当は反啓蒙主義の)無知な「米国第一」政策を利用するのを許してはいけない。
もしもトランプがパリ気候協定から撤退するなら、それ以外の国は、米国の輸出に対し世界標準に従っていないとして炭素税調整税を課すべきだ。」

スティグリッツ教授がProject Syndicateで国際経済学者らしい意見を述べている。
米共和党は、外国からの輸入に対して国境調整DBCFTを課すべきと主張してきた。
DBCFTとは、米国内でなく海外の人員・不動産等を安く活用した場合、国内との差額に課税して調整しようというものだ。
こうすることで、企業のコストだけに目を向けた海外移転・海外調達を防ぐことができる。
共和党より知的ではない大統領は、より単純な関税を主張してきた。

スティグリッツ教授が環境税について求めているのは、DBCFTと似た内外不公平を是正するための措置だ。
米国が国際的な枠組みに従わず地球を汚し続けるなら、その分を米国の輸出品に対して課税しろと言っているのだ。
これが実現したとしても、米国内で製造され米国内で消費される部分については野放しのままだ。
しかし、それでも何もやらないよりはいいだろう。
麻生副総理は、トランプ大統領のパリ協定離脱について

「その程度の国だと思っていますけどね」

と評した。
日・欧・中が米国の暴走を見過ごすことのないよう祈りたい。

事は、温室効果ガスが温暖化を引き起こすか、温暖化が破滅をもたらすか、パリ協定が抜本策になるか、ではない。
人類が不完全であることを知りつつも、最善を尽くし、長い間かけて検証してきたコンセンサスにもとづき意思決定をした。
その決定をほとんど何の理屈もなく覆すことが許されるかにある。
人知は間違っているかもしれないし、方策もベストではないかもしれない。
しかし、それでもよりよい方向を目指して進もうとしていたことへの姿勢が問われているのだ。

「18世紀半ば以前の1000年、生活水準は停滞した。
その後の2世紀半、生活水準を大きく向上させたのは、論拠のある議論と科学的な調査を重視した啓蒙思想だった。」

理詰めの議論こそが人間の生活を豊かにするとスティグリッツ教授は説いている。
そして、アメリカ人の大半が、この啓蒙思想の価値を見捨てていないと希望を抱いている。
しかし、希望を抱けないものもある。

「トランプに関する限り、理詰めの議論が意味をなさないのはすでに明らかだ。
今こそ行動の時だ。」