スタンレー・フィッシャー:米国がボラティリティの源泉

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スタンレー・フィッシャーFRB副議長が、金融規制緩和を求める既定路線に懸念を示した。
ようやく金融危機から脱し新たなスタートを切ろうとしているのに、再び危機を招きなけないという。

「私が思い描いていたのは、米国が世界経済を牽引する姿だった。
米国がボラティリティの源泉となるような姿ではなかった。
これが、完全に変わってしまった。」

フィッシャー副議長はFTのインタビューで語った。
米国はリーマン危機を乗り越え、FRBは危機前まで回復するためバランスシートを正常化しようともくろんでいる。

「1930年より後、同様の規模の金融危機が再来するまで80年かかった。
今(危機から)10年経って、みんな大金融危機の前の出発点に戻った。」

ところが、今や米国は世界経済の救世主ではなく疫病神になりつつある。
経済・市場は好調であるものの、政治面で予測の難しいリスクを大量生産している。
そもそも、トランプ大統領が選挙で掲げた規制緩和の公約自体、中身を見ない無理筋の政策だった。
リーマン危機への反省から制定したドッド・フランク法などの規制を杓子定規に取り払おうとしている。

「本当にとても危険でとても近視眼的だ。
こうなる政治的力学はわかるが、どうして知性ある大人がこうした結論にたどり着くのか理解できない。
過去10年に制定した規制をすべて取り払おうとするなんて。」

確かにドッド・フランク規制にはやりすぎの面があるとの声が多い。
しかし、だからそのほとんどを反故にすれば問題が解決し、かつ危機も回避できるということにはならない。

「小さな銀行の規制緩和の圧力はいいんだ。
しかし、私が恐れているのは、大銀行も規制緩和するのは非常に非常に危険に思えることだ。」

フィッシャー副議長は次期FRB議長の人選についても語っている。
目下最有力と見られているのはゲイリー・コーン国家経済会議委員長(元ゴールドマン・サックス社長兼共同COO)とジャネット・イエレン現議長だ。
副議長はイエレン議長が至難を極めるバランスシート正常化をうまく進めていると高く評価し、再選を「すばらしい選択」と評する。
一方で、コーン氏についても否定的な考えを持っていない。
コーン氏には官僚や学者としての経験がないとの指摘に対しても問題とはしない。

「FRBのような機関の議長にとって第一の要件は、寄せられる提言を見極める判断力なんだ。」