ジム・ロジャーズ:危機は回避できない

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冒険投資家ジム・ロジャーズ氏が、金融危機の到来を予想している。
危機は不可避であり、介入により先送りして危機を大きくするより、早くガスを抜くべきと勧めている。

「どんな手を打っても危機は回避できない。
唯一の方法は、できるだけ早く市場への介入や支援措置をやめて、バブルをはじけさせることだ。
長引けば長引くほど、状況は悪くなる。」

ロジャーズ氏は経済危機の発生を回避することはできないと日本経済新聞に語っている。
人為的に市場を支えようとしても問題の先延ばしに過ぎず、結局は傷を深くすると警告している。
ロジャーズ氏は先月「人生最悪のクラッシュがやってくる」と語って話題となった。

「次の危機は中銀や政府の危機であるがゆえに、公的な年金基金が行き詰まるなど大変な災害になる。
これまで経験した中でも最悪の危機になるだろう。」

サブプライム/リーマン危機は米住宅市場で発生した民間セクターでの債務バブルだった。
住宅ローンが担保証券に証券化され、それが幾度も再証券化された。
元の住宅やローンに変化がないのに、不思議なことに、それから組成された証券化商品の信用格付は見違えるほど向上した。
それが債務拡大を助長し、債務バブルを発生させ、そして弾けた。

リーマン危機後の各国中央銀行は民間で増えすぎた債務を肩代わりすることに終始している。
確かに民間セクターの債務は減ったが、中央銀行の債務はどんどん膨れて行った。
さらに悪いことに、金融緩和は政府の財政規律を緩ませ、それも政府部門の債務拡大を助長してしまった。
責任ある立場にいる人の中には、政府や中央銀行の債務拡大はリスクではないと主張する者さえいる。

「バブルの最中に人々は常に『今回は違う』と言う。
だが実際はそんなことはない。」

「This time is different.」というフレーズがバブル発生時に流行するのはバブルの経験則だ。
バブルの研究で有名なJeremy Grantham氏まで最近このフレーズを肯定するようになっている。
過去のバブルと性格が異なるのは確かなようだが、だからバブルでないと言えるのか。
投資家らは迷っている。

ロジャーズ氏はアジア通貨危機の際、ニューヨークにいて香港株をショートしていたと話す。
中国返還への期待から株も通貨も割高との見立てだったという。
現在、ロジャーズ氏が日本の近くでショートしているという話は聞かれない。
危機はアジア発ではなく、先進国発と見ているのであろう。
 
危機到来を踏まえたロジャーズ氏の投資戦略は、従前どおり米ドルだ。
危機時のドル買いに合わせて仕込んだドルを売却したいという。