ジム・ロジャーズ:下げる「恐れ」、ETFの「恐れ」

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冒険投資家ジム・ロジャーズ氏が、弱気相場を知らない世代が増えつつある現実を危ぶんでいる。
ひとたび弱気相場がやってくれば、強気相場で好まれてきたETFが大きな下げに見舞われるだろうという。

「物事がうまくいっている時には、みんな26歳の若者を欲しがる。
大きな強気相場、特にバブルでは、26歳の若者が一番いい。
彼らは恐れを知らないから。」

ロジャーズ氏は、恐れを知らない若者が強気相場で一役買うことへの危機感をReal Vision TV(MarketWatch報)で語った。
勝利と敗北を繰り返してきた老人は1990年代終わりに自分の会社で学生を雇った話を明かしている。
彼は2年間、約500%ものリターンを挙げたのだという。

「翌年、彼は会社のすべてを失ってしまった。
もはや会社は彼を喜ばなかった。
彼は28歳だった。」

恐れを知らない26歳の学生が2年間めざましい結果をもたらした。
しかし、それは持続可能な手法ではなく、一か八かのギャンブルに過ぎなかった。

ロジャーズ氏は、似たようなことが9年目に入った現在の強気相場でも起こりうるという。
26歳の若者は8年前なら18歳。
一人前の大人になるかならないかの世代だ。
その頃から今まで、この世代は基本的に右肩上がりの資産価格を見続けている。
そこに健全な「恐れ」が育つかどうか大いに疑問だが、金融機関では手を動かす仕事で主役の世代となりつつある。

「彼らは大金を儲けた理由を理解していない。
だから、彼らは損をする理由もわからない。
彼らは何が起こっているかわかっていない。」

以前から新たな危機の到来を予想しているロジャーズ氏は、弱気相場入りで特にETFが脆弱となりうる点を指摘している(MarketWatch)。

弱気相場になれば、たくさんの人が理解するはずだ。
『神様、私はETFを保有しているが、崩壊してしまった。
何よりも暴落してしまった。』
ETFが一番下げてしまう理由は、みんなが保有しているからだ。

ETFにも運用資産があるから、それだけ継続的に一番下げるということは起こりえない。
(ETNでは起こりうるかもしれない。)
ただし、短期的にはETFが裏づけとなっている資産バスケットよりも早いペースで下げることはある。

長く続いた強気相場の中でパッシブ運用の好パフォーマンスが目立つ。
ETFやパッシブ運用ファンドが投資家に好まれ、莫大な資金を集めている。
ロジャーズ氏が言いたいのは、市場が弱気相場に転換すれば、ETFなどの巨大な塊が下げ相場を主導しかねないという点だろう。

「ETFでなく個別の株式に集中できるなら、株式にも大きなチャンスがあるはずだ。
個々の銘柄は(ETF人気の中で)見過ごされているからだ。
銘柄によっては、とても業績が良いものがあるのに誰も買っていない。
ETFしか株を買っていないからだ。」