ジム・チャノス:法人減税で税金はたいして減らない

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Kynikos AssociatesのJim Chanos氏が、トランプ政権の減税案についてコメントした。
市場が待ちに待った法案だったが、その市場もかなり抑え気味の反応をしてしており、チャノス氏はその理由を的確に指摘している。

彼らが何をやりたいのかがわからない。
(米連邦の)法人税率は名目で35%だが、実効税率ははるかに低い。
S&P 500企業では20%台後半だし、公的企業・私企業を合わせた全体では10%台後半にすぎない。
キャッシュ・ベースで言えば、大きな助けにならない。

チャノス氏はBloomberg番組で、トランプ政権の減税法案についてダメを出した。
35%を20%にするなら大きな下げと言えるが、実は35%もの法人税率で法人税を払っている企業は少ない。
ほとんどの企業は複雑な控除の仕組みを駆使してすでに実効税率を大幅に引き下げている。
複雑になりすぎた法人税制をわかりやすくするなら、20%という税率は現在とたいして変わらないことになる。
(キャッシュフロー・ベースでなく会計ベースでは少し影響が出てくる。)
複雑な控除の仕組みを温存するなら、企業優遇でしかないし、財源がともなわなくなる。

チャノス氏は、こうした減税案は強引で通りにくいと予想する。
そもそも何を達成したいのか理解できないとし、政権の偽善を見透かしている。

「雇用が大事と言いながら、設備投資を強調している。
現在、設備が生身の労働者に置き換わっている。
本当に雇用を取り戻したいなら、税率を高くして賃金の2重控除を許すべきだ。」

もちろん国内で設備投資が高まれば、その建設時の労働需要は高まるだろう。
しかし、資材・機械を輸入してしまえばそれも限定的になるし、建設が終われば逆に雇用は減ってしまう。
大統領が本当に雇用を最重要視するなら、直接的に賃金を増やすような施策を採るべきというのがチャノス氏のアイデアだ。
そうなっていない現実を見て、チャノス氏は誰のための減税案か見透かしているのだ。

「減税案はフロリダのヘッジ・ファンド・マネージャーと子供・孫にとっては素晴らしい。
それ以外のみんなにとってはわからない。」

チャノス氏は今後も米政治の混乱が続くと考えている。
それはオバマケア撤廃法案が頓挫したことから見て取れる。

「私は共和党のヘルスケア法案のことを共和党のスターリングラードと呼んでいる。
後退が続き、象徴的で、泥沼だ。」