ジム・チャノス:半世紀に1度の世界の変化

息の長い空売りで有名なKynikos AssociatesのJim Chanos氏が、半世紀に1度の変化について語っている。
資本と労働の間を行き来する振り子が、また方向を変える可能性があるという。

ファンダメンタルズ分析に基づき何年にもわたって空売りを仕掛けることで有名なチャノス氏からすれば、トランプ・ラリーは眼中にもない。

「ほぼすべての銘柄が減税を信じて買われている。
しかし、オバマが勝利したとき、就任後の3月まで株は下がり続けた。
そして、3倍になった。
私は初めの1-2か月であまり判断しないことにしている。」

Institute for New Economic Thinkingのインタビューで語っている。

オバマ大統領当選後のニューヨークダウ平均

チャノス氏が今考えているのは、市場全体やセクターごとの短期的な上げ下げではない。
「もっと大きな絵」の中で、トランプ政権をとらえようとしており、この政権について2つの可能性を見出している。

  • 不確実性の高い政権: この場合は、いま大騒ぎしてもしかたなく、事が明らかになるにつれ対応するしかない。
  • 半世紀に1度の世界の変化: 世界の資本主義に対する考え方の変化だとすれば要注意だ。

チャノス氏は、50年ごとに起こったイデオロギー変化を2つ解説している。

1930年代: 個の否定
世界恐慌の後、ケインズ主義であれ、ファシズムであれ、スターリン主義であれ、企業や銀行を押しのけ政府が役割を大きくした。
これが経済に及ぼしたのは:

  • 名目GDPに寄与
  • 株式・債券は最悪

つまり、労働者に優しく、資本家に厳しい時代となった。

1970年代から1980年: サッチャー・レーガンの時代
振り子は振れすぎ、資本への税は減税され、グローバル主義が強化された。
世界の貿易は拡大した。
労働より資本にとって有利な時代となった。

チャノス氏は、こうした歴史の転換点を回顧した上で自問する。

「2016年を見たとき、Brexit、イタリア国民投票、トランプ勝利、中国での国家主義台頭、これらは何か大きなことの前触れだろうか。
それとも単なる偶然だろうか。」

これが何かもっと大きなことの前触れであるとの確信は持てまい。
しかし一方で、これを「単なる偶然」と考えている人も皆無だ。
今が半世紀に1度の変化の時だとすれば必然的に予想されることについて、チャノス氏はもう一度繰り返している。

「再び賃金単価は上昇するのだろうか。
資本に課税し、賃金を強調する世の中になるのだろうか。」

こうリフレインすると、多くの人が実現可能性に首を捻るのではないか。
労働が資本より有利な世の中になるには、もう一段、大きな出来事が必要であるように思うが、そうした出来事は起こりうるのか。
米社会は「ウォール街を占拠しろ」に実りをもたらさず、最も資本家らしい資本家をリーダーに選んだばかりだ。