ジム・チャノス:テスラは構造的に利益の出ない会社

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息の長い空売りで有名なKynikos AssociatesのJim Chanos氏が、米電気自動車大手テスラの暗い将来を予想した。
過去の成功の構図があと2年のうちに通用しなくなるという。

「この会社が過去うまくいってきて、イーロン・マスクが先取りの視点を持ってきた点は、マスクがセクシーなEVを作った点だ。
Model Sはセクシーな車だ。
あれは意欲的であり、妥協を許さなかった。」

テスラを空売りしているチャノス氏がBloombergで、テスラの過去の成功について分析している。
かつてのEVと言えば、EVにするために美しさ・趣きを犠牲にしたようなデザインだったと振り返る。
テスラのマスクCEOは、クールなEVを作ってみせた。
それが過去の大成功を支えてきたのだ。

大成功と言っても、それは車づくりの話であり、金儲けの話ではない。

「3年前この会社は、今頃には黒字になると考えられていた。
今では2020年までに黒字になると考えられている。
2019年までには、黒字化は2025年という話になっているだろう。
この会社は利益の出ない構造にある。」

テスラは依然として営業赤字を続けている。
営業赤字の会社が総資産226億ドルを抱え、うち株主資本は47億ドルしかない。
低金利によるレバレッジの効果を活用しているとも言えるが、チャノス氏によれば構造的赤字企業という評価になる。

「テスラ株を買う人はテスラの現状に基づいて買っているのではない。
すべて将来に基づいて買っているんだ。」

では、テスラの将来には何が待ち構えているのだろうか。
チャノス氏は2点を指摘している。

  • 2019年までには競争が激化
    ポルシェのMission E投入など、財務体質の強い黒字企業がテスラの得意とする「セクシーなスポーツ・カーや高級車」の分野に参入する。
  • 自動運転分野での遅れ
    「3年前にはリーダーだった分野でリーダーではなくなっている。」

ショート・セラーの弱気コメントは容赦ない。
チャノス氏は、昨年のテスラによるSolarCityの20億ドル買収にも触れている。
ソーラーシティはマスク氏のいとこが創業した太陽光パネルの設置会社だ。
赤字が止まらず株価下落が続いていた同社をマスク氏のテスラが買収した。
これが、上場企業であるテスラによるCEO関係先の救済との批判を浴びた。
実際、マスク氏は22%のソーラーシティ株を保有しており、テスラによる買収でさらなる株価下落の被害を食い止めたとの指摘もあった。

「ソーラーシティはEBITDAがマイナスの会社だ。
だから、ソーラーシティ株主への価値の流出だけでも年間10億ドルになる。」

テスラは自社が赤字であるにもかかわらず、さらに赤字事業を引き受けた。
ソーラーシティの赤字の大部分を旧来からのテスラ株主が負うため、ソーラーシティ株主が恩恵を受けたとの捉え方もできる。
もちろん、最終的な是非は、両社のシナジーが買収を正当化できるかにかかっている。