ジム・チャノス:シェールは炎上する

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息の長い空売りで有名なKynikos AssociatesのJim Chanos氏が、米シェール産業への批判を続けている。
シェール銘柄のショートを行っているチャノス氏は、一般論として同業界が炎上すると語っている。


Billionaire investor Jim Chanos’ best idea? Shorting Continental Resources from CNBC.

私たちの考えでは、ウォール街はこの産業をバラ色の眼鏡を通して見てきた。
これこそ北米シェール事業の本質的な問題なのだ。」

チャノス氏はCNBC主催のコンファレンスで、金融業界のシェール産業への見方の甘さを問題視した。
シェール業界のコストの大半は油井・ガス井の構築に投じられるものだ。
これは建設・取得した際に資産として計上される。
つまり、当初大きな支出が発生するにもかかわらず、その時点では損益計算書上に費用計上されない。
長い期間にわたって償却・消却費として計上されていく。

しかも、この業界にはフル・コスト法と呼ばれる寛容な会計の習慣がある。
油井・ガス井掘削の成功・失敗に関係なく支出を費用計上せず資産計上し、油井・ガス井の予想寿命で償却・消却していくという会計方法だ。
費用収益対応の原則を理由に行われているのだが、批判的に見れば、とにかく費用計上を先延ばししようとしていると批判されても仕方のない慣行だ。
掘削が成功しなければ、あるいは予想寿命が(平均として)満たされなければ、先延ばしされた償却負担が業績を圧迫することになる。
落ちこむ損益をかさ上げするために再び新たな油井・ガス井掘削が続けられるのである。
一般論で言えば、新たな開発地の限界効用は逓減すると見るべきなのにである。
チャノス氏はこの連鎖の構造を戦争の狂気を描いた小説『Catch-22』に喩えている。
矛先は金融界だ。

「ウォール街の多くの人たちがいまだにやっているように、評価のための数値としてEBITDAに依存すれば、投資家の多くを破滅の道に追い込んでしまう。
この産業はウォール街、プライベート・エクイティ他から多くの資本を集めた。
今でも、この産業における資本利益率の問題につながるような数値を用いて(投資家を)魅了している。」

チャノス氏は、企業価値評価においてEBITDA(金利・税金・償却前利益)を重視する金融市場の慣行を問題視しているのだ。
シェール業界のように投資のかさむ業界で償却前の利益を用いれば、評価が甘くなるのは目に見えている。
チャノス氏は、同業界について痛切な皮肉を語っている。

「(シェール事業に対する)考え方は、他の事業に対するものとは異なる。
(この業界の)資産は文字通り炎上するんだ。」