ジム・オニール:米経済の持続可能性と米ドル相場

ジム・オニール
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BRICsの生みの親Jim O’Neill氏が、米大統領選挙後のドル高・ドル安の軌跡について解説している。
短・中期の要因を棚卸ししたほか、より構造的な課題にも言及している。

「ドナルド・トランプ米大統領当選後の7か月で最も興味深いことの一つは、主要通貨に対する米ドル相場の動きだろう。」

オニール氏はProject Syndicateでこう回顧する。
昨年11月8日のトランプ氏勝利後、財政政策・構造改革への期待感からドルは急上昇した。
ところが、1月に入るとドル相場は逆に振れ、今では選挙時よりもドルは安い水準にある。

米ドルの実効為替レート(ブロード・ベース)
米ドルの実効為替レート(ブロード・ベース)

オニール氏は、この現象について3つの解釈を呈示している。

  • トランプの待望の成長戦略が実現せず、議会を通る見込みもない。
  • ユーロ圏をはじめ諸外国の経済が予想外に好調だった。
  • 市場がトランプ大統領がもたらした不確実性を米ドルのリスク・プレミアムとして織り込んだ。

このどれが真実だったか、シナリオは今後も続くのか、そうした点が明らかになれば今後のドル相場も見えてくるだろう。

オニール氏はドル相場にとってより構造的な問題にも言及する。
GDPの7割を家計の消費に依存する米経済の持続可能性への疑問だ。
消費依存の経済は慢性的なドル安圧力を生む。
オニール氏は、これを解消するためのシナリオを2つ紹介する。

「GDPに占める消費の割合を適正化するには、いいやり方と悪いやり方がある。
いいやり方は輸入を減らし輸出を増やし、国内の貯蓄・投資を増やすことだ。
特に米消費者にとって悪いやり方は、米国が世界に喧嘩を売り、手を引くことだ。」

仮に「いいやり方」が選択され目覚ましく進展すれば、次にはトリフィンのジレンマが待っている。
米ドル相場にとって心地よい道のりは相当に隘路なのかもしれない。