ジェレミー・グランサム:2000年以降の市場の変容

Share

大手投資会社GMOの共同創業者Jeremy Grantham氏が、2000年頃を境に起こった市場の変容について語った。
1998年に始まった変化をきっかけに2000年以降バリュー投資が難しい環境になっているという。

「バリュー投資と中央回帰について、今回も違いはしないと言うのには注意が必要だ。
物事は変わる。
キャリアの最初30年間がその前の30年間と似た市場環境だった点で私は幸運だった。」

バリュー投資とバブルの研究で高名なグランサム氏はWealth Managementにこう語った。
《今回は違う》という言葉はバブルの作り手たちの常套句だ。
今回はこんな特別な理由があるから市場はまだまだ上がり続ける、こうした話がまかり通るようになると、往々にして市場はバブルの領域に踏み込みやすい。
この経験則について、バブルの専門家が疑問を呈している。

グランサム氏は1935-2000年の市場環境がバリュー投資にとってとても有利なものだったと振り返る。
「秩序だった」市場は「割安の時にはアウトパフォームし、割高になると崩壊した」という。
バリュー投資家は割安の時に買いを入れ、割高に感じられたら深追いせずに利益確定すればよかった。
「バリュー投資を辛抱強くやれば天国に行けた」時代だったという。
しかし、1998年に降りかかった「強大な二重の魔法」によって、2000年以降はバリュー投資には厳しい時代となる。
二重の魔法とは、1998年以降PERが以前50年間よりも平均60%、利益率が20-30%も上昇したことだ。
2000年頃のITバブル、2007年の住宅バブルで稼ぐ機会はあったが、水面下では変化が始まっていたという。

「企業が独占力を高め、政府にも影響力を及ぼした。
現在の市場はバブルとは違う感じがする。
2005年の住宅バブルのような多幸感はない。
むしろ、心配の壁を上るような感じだ。」

こうした変化はバリュー投資にどのような影響を及ぼしたのか。
長期にわたるPER・利益率の高止まりは、バリュー投資家に過小評価を続けさせた。
高いPERはいつか下がってくるだろう、高い利益率はいつか下がってくるだろう。
しかし、少なくとも最近で見る限り、中央回帰にともなう下げが見られていない。
グランサム氏は「それが1998年以降の重しになった」と回顧する。

では、二重の魔法の本質とは何なのだろう。

「私の答は、割引率の構造が2%ポイント低下したというものだ。
株式や債券の利回りもその分低下した。
市場は低金利・低インフレ・高利益率に順応したのだ。」

つまり、投資リターンの低下を市場が容認したというのだ。
過去より2%低いリターンであっても過去と同じ価格に評価するという妥協が行われたのだという。