ローレンス・サマーズ

サマーズ:金融政策の枠組みが変わる

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ローレンス・サマーズ元財務長官(現ハーバード大学教授)が、FRBの任務は今後ますます困難になるだろうと予想した。
不況や金融危機のリスクを挙げながらも、最大の懸念は政治になると指摘した。

「今後数年FRBの仕事ははるかに困難になっていくだろう。
経済、金融、政治が新たな試練を投げかけ、創造的で非正統的な対応が必要とされるようになろう。」

サマーズ氏は自身のブログで米金融政策の舵取りについて見通している。
その一つの理由は、米経済が不況入りする可能性が高いことだ。
ところが、伝統的な金融政策でこれに対応するにも限界がある。

「歴史的にFRBは大幅に金利を引き下げることで不況に対応してきた。
過去2世代にわたる景気後退局面では、政策金利を400ベーシス以上引き下げている。」

現在のFF金利誘導目標は1-1.25%にすぎず、不況到来までに4%もの引き下げ余地が生まれているとは考えにくい。
そもそも米長期金利でさえ2.2%台と、米国もいまだ超低金利なのである。
結果、サマーズ氏は、金融政策の枠組み変更に迫られることになると予想する。

FRBの責任ある新指導部は、金融政策の枠組みの変更について真剣な検討を求められることになろう。

  • 名目GDPをより重視するか
  • インフレより物価水準(つまり、低インフレの後には高インフレを)に集中するか
  • あるいは物価目標を引き上げるか

になるのではないか。

サマーズ氏は金融政策も財政政策も拡張的な政策を求めている。
金融緩和のリスクより金融緩和しないリスクの方を大きく見ている。
しかし、現状を見れば金融緩和を唱える声はほとんどなくなった。
サマーズ氏は、不況が来てからでは効果が薄まってしまうと危機感を滲ます。

そして、危機と言えば不況だけではない。
金融危機のリスクも高まりつつあると見る向きが多い。
しかし、サマーズ氏は、最大のリスクは政治にあると言う。

「現在、リチャード・ニクソン以来で最も大統領がFRBに干渉するリスクが高まっている。
国際問題に対処するのにFRBは、人材の揃わない素人の財務省、米国の信認を損なう大統領と一緒に務めなければならない。
最も本質的なのは、時代の趨勢がポピュリストの感傷のために技術的専門家に向かい風となっていることだ。
そしてFRBは恒久的に政治から独立した典型的な機関なのである。」